コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 6年生少年少女 再会編 7 ( No.116 )
- 日時: 2014/02/17 18:14
- 名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)
24話
今回は。
今回は、誰の弁護もしないことにしよう。
途中に、どうでもいい茶々は入れるけど、まぁ…どうでもいいでしょ。
俺は、面白いものを傍観するだけ。
☆
「………リナ鳥さん」
「………なに?くみ」
「………昼休み、あと10分しかないッスよ?」
「………だって…あのアホ共が…」
女子2人が背景に溶け込みながら、呆れたような、疲れたような顔で見つめる先には、未だにギャアギャア騒いでいる男子がいた。
「ははは、中村君は、なかなか僕に心を開いてくれないね……」
(こんな奴に心なんて開くかよ!)
「でも、いつかは仲良くなりたいなっ!!」
(いつまでも仲良くなるつもりないし!)
「そして、仲良くなった暁には、共に杯を交わそう!!」
(さかづき!?まだ未成年だろーが!!…いや、成人してからこいつと仲良くなることもないからいいのか…)
「………はっ!ぼ、僕たちはまだ未成年だったじゃないか……!」
(今更だな!!)
「ところで、『さかずき』ってなんだい?お酒の種類かな?」
(よく意味が分かってない言葉を無理に使うなよ!)
「うぅ…中村君が、僕の発言に返事をしてくれていないことに、今気付いたよ……」
(気付くのおっそ!おっそ!!)
中村は頭の中で色々と反応してくれていたのだが、頭の中で反応していても、端から見ればスルーしているも同然だった。
「………コウ、スゴい顔してるッスね…」
「………疲れないのかな?」
「………きっと、体内で発電してるんスよ」
「………エコだね」
ツッコミ役の苦労も知らずに、くみとリナは、また背景に溶け込んでいった。
☆
…もうそろそろ発言しようかな?
はづきは、自分を盾にしている中村と、そんな中村に爽やかな笑顔を向けながら間を詰めようとしているたくを交互に見つめて、また、ニヤリと笑った。
「……たく君は、騙されやすいタイプなんだねぇ」
「ん?なんだい、はづき君?」
中村との攻防戦を一度休止し、たくははづきの方に体を向ける。
中村は、ほっとしたように脱力した。
——脱力してはいけない場だったのに。
「中村さん、彼女いるし?」
「「「「え!!??!!??!!??!!??」」」」
背景と化していたリナとくみ、爽やかな笑顔を振り撒いていたたく、ほっとして脱力してしまっていた中村の声が、見事に重なりあった瞬間であった。
「は?!な、ななななに言っちゃってんだはづ——むぐっ!?」
「異論は聞かないよっ★」
(——!?は、速すぎだろ!?)
はづきが中村の口を、いつのまにか塞いでいた。
皆が、口々に、中村に詰め寄る。
「…こ●す☆」
「相手は、だっ…誰なんだい?!」
「学年…初等部1の美少女ちゃんだったっけ?」
「まみみっへんも(なにいってんの)!?」
「素晴らしい子を手に入れたね!中村君!!」
「ひは、ほんほひみまふはま(いや、ほんとにちがうから)!!」
「ところで何語ッスか!?」
「ももへみふ(ここで聞く)?!」
中村は助けを求める意味を込め、たくと再会してからずっと石化したままのみなおに視線を移した。——が、やはりみなおは俯いて固まったままだった。
そんなみなおに、やはりたくが、懲りずに、爽やかに話しかける。
「はははっ、みなおと僕の後に続いて、どんどんカップルが成立して行くなんて…!いつでも僕たちが先頭を走り抜けていかなければいけなくなってしまったねっ、みなおっ!!」
「………………………………………………………………」
みなおは少し顔を上げ、また黙りこんで、俯いた。反応はない。
「……………ぞ」
「ん?」
だが。
みなおが口を開いて、蚊の鳴くような声で発言したのだ。
☆
「ごめんよ、みなお。もう少し大きな声で発言してくれないかい?」
たくがそう言った直後、みなおは決心したように、俯くのをやめて、『いつも』の様子になった。
その場にいた一同も、空気に変化が起きたことに気が付いたらしく、なぜか身構えた。
——『大城みなお』の気迫を感じたのだ。
今の空気の変化は、さっきまでの『異常』なみなおが消え去り、『いつも』のみなおに戻ったことを知らせるために吹いたのかもしれない。
ならば。
『いつも』のみなおならば。
そう、こんな風に。
「…すまんな、たく。私は既に、愛している者がいるのだ。お前以外にな」
————どんなに突拍子な事柄でも、やってのけてしまえる気がした。
続く……(再開編は次回の更新で終わらせます)。