コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 6年生少女 4 ( No.13 )
- 日時: 2014/01/03 10:35
- 名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)
6話
大城みなお、岡本ユリ、高柳リナ、辻村くみ。
一見、まったく接点の無い4人がなぜ集まってしまったのかは、周りも、本人たちも、理解ができないそうだ。
「なんとなくだろう」
「なんとなくですわね」
「そんなことよりお菓子食べたいぃーっ!」
「私の魔神眼が共鳴したからッスよ!」
本人たちの理由は、もっと理解不能なのだが。
☆
「あら、紅茶の時間だわ」
「某ボカロ曲のあれか?黄色い髪のワガママ王女のやつだろ」
「召使いにあやまれですわっ!!」
「お菓子」
「あぁ、あちらから取ってこさせるわ…執事ズ、お茶とお菓子を」
「かしこまりました、お嬢様」
「年上の人間まで従わせるとは…!ユリちゃん、すごいッス!!」
「そ、そう?ふふふ」
「なんで美人のメイドさんじゃないんだよ。…岡本、まさかジジ専なのか」
「ちげーよ!ですわ!」
「お待たせしました」
「あら、ありがとう。机の上に置いてくださいな」
「もぐもぐおいもぐしいよもぐもぐこのもぐもぐもぐおかもぐしもぐ」
「置いた瞬間に、おかしがもう口の中にあるッス…!リナドリさんすごい!」
「口の中に物を入れながら話すなよ高柳。そして私は紅茶が嫌いだから飲むことができん。岡本、緑茶ーっ」
「はいはい、わかったわよ……って」
ユリの動きが止まった。
「あんたたち、マジでなにしにここに来たか分かっているのっ?!」
岡本家三階、客間(書院造)。
4人は、一ヶ月に一回は必ず、ここで『あること』を行う。
『あること』とはなにか。
リナとくみとみなお命名、 『ユリちゃんの、ドキ☆ドキお説教会(笑)』である。
☆
「……こほん、では、只今より、第28回、 『ユリちゃんの、ドキ☆ドキお説教会(笑)』を開始したいと思いますわ 」
「「「イェ———イィィィィッ!!ヒューヒューッ!!」」」
「だまらっしゃいっっ!!」
ノリノリで盛り上がっていた3人に、ユリはピシャンと言い放った。
「今のノリの主犯は誰?」
「ほーいっ、うちだよーん」
挙手したのはリナだ。
「まったくもう…なんなのよ…、でもいいわ。あなたからお説教を始めますわ!」
「それがやりたいだけじゃねぇーの?」
「少し黙ってなさい!…リナ、あなたっていつも、ノリがうるさいわよ」
「はははーそれほどでもぉーっ」
「静かなノリにしなさい。前、家に来たときもうるさすぎて、爺の耳が、昔よりも遠くなってしまったのよ!」
「お年寄りはいたわらないとね、うんうん、わかったよユリちゃん」
「わかってくれたかしら…、ありがとう」
うん!と頷くリナ。こう言うときの返事は良い。
「じゃあ、今回のうちへのお説教は、一件落着ってことで」
息を大きく吸って……。というかなぜかみなおとくみも……。
「「「めでたし、めでたしっっ!!」」」
「それをやめろって言ってるのよ!!」
ふぅ、と、ユリは息をはく。
「次は、くみよ」
「なにッスか?」
「あなたの場合、性格と要領の良さは評価するわ」
「ありがとうッス!」
「……ただね」
ユリは、ニコニコと笑うくみの、魔神が封印されているという眼帯を着用した左目を、まじまじと見つめた。
「…その眼帯といい、金髪といい、どうにかならないの?」
「ユリちゃんはどうやら、誤解しているみたいッスね」
あ、また始まった…、ユリは少し後悔した。
「この髪色は、私の身体に魔神を封じ込める際に、副作用的な感じで染まってしまったんス。この眼帯は、魔神の暴走を」
「な、ならしかたないわね、そのままでいいわ」
厨ニ設定を聞かされて、ユリは少し疲れた。だが、本題のみなおが、まだ残っているため、体力を残しておかなければならない。
「最後はみなおよ!だいたいあんたはいつもいつも……?!」
い な い !!
先程からやけに静かだと思って油断していた。だが、なぜ誰も気がつかないのだろうか。
ついさっきまでみなおが座っていた座布団の上には、一枚のメモがあった。
まさか『帰ります』とか書いてあるんじゃないかと思って、ユリは慌ててメモを読む。
『緑茶を求めて三千里』
「大城さん、かくれんぼしたかったんスかねぇ」
「じゃあ探そうか」
「あいつはこれだから周りの人まで変人呼ばわりされるんですわ——ッッ!!」
厨房の真上の屋根裏から、天井板をはずして逆さお化けっぽく登場したみなおが、仕事中のメイドに向かって「あ、緑茶ください」と言ったのは、それから14分後のことなのであった。