コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 6年生少年少女 ラブコメ編 1 ( No.15 )
日時: 2014/01/07 19:59
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)


8話



高柳リナ、中村コウ、後藤はづきは、幼馴染みだ。
幼稚園の年少の頃から、よく一緒に遊んでいた。

そこに、中村コウの姉、中村カナと——。

同じ6年生である、悠木ラノ。

この5人で、遊んでいた。





変人学園と、普通校…通称『他校』の間には、巨大な高級マンションが建っている。

親バカで有名なリナの両親が大家であるここの大型マンションは、リナの友達なら家賃が半額になる、という特典がつく。親と、何らかの都合で別居しなければならない、という子は、ここのマンションで生活することが多いのだ。それに、学校からも近い。
現在このマンションで一人暮らしをしている子は、中村カナ、悠木ラノ、他校生の少年、宇宙人2人とリナだ。
なぜリナが一人なのかと言うと、大家であるはずの両親は忙しく、日本中を飛び回っているため、なかなか娘に会うことができないのだ。
そのため、リナの世話は、こうこうせいであり、幼馴染みでもあるカナが行っている。一日一回、メールでリナの様子を記録したもの(ムービー付き)を送ることが決まりだ。


「ふぃーっ、今日もさむぅーっ!」

短めの、明るい茶髪の癖ッ毛。左頬には数年前、土手で転んだときにできてしまった3本線の傷。悠木ラノは、朝早くに身仕度を整え、茶色いジャンパーを着用し、ランドセルを背おって玄関前に出た。そして、扉に鍵をした。

(今日も一日がんばろーっ、と!いろいろ!)

軽い足取りで、エレベーターにも乗らず、地上13階から陸地までを、ものすごい速さで駆け降りるその姿は、まるで身軽な猫のよう。本人も猫をこよなく愛する変人の1人だ。猫の事を語り出さなければ、常識人なのだが。

初等部6年生4組に、彼は在席している。4組は体育会系の生徒が多く、彼の運動神経は群を抜いていた。ちなみに、1組は真面目な者が多く、2組は大人びた者が多く、3組は愉快で明るい者が多いと言う噂だ。本当なのか、疑問である。


学校に到着すると、同じ学年の生徒は数名いたが、まだ靴箱前の玄関が開いていなかった。開くまで、あと5分はありそうだったため、ラノはその場でうろうろしていた。

(まだかなぁーっ)
「ら、ラノさん!」

後ろから突然声をかけられて、ラノはびっくりして振り返った。聞き覚えのある声だなぁー、と思ったら、同じクラスの辻村くみだ。

「あぁーっ、くみじゃん!おはよーっ」
「おっ、おぉおはようございまッス…!」

なぜか顔を赤くしながら、くみはラノに挨拶を返す。

「くみ、いつも朝早いよね」
「…………………………………………………ラノさんと、こうやって話すことができるから……っ」
「ん?なんか言った?」
「んなっ、なんでも無いッスよッッッ…!」

都合よく聞こえなくなる耳だ。

その後、ラノとくみは、玄関が開いて教室に着くまで、話続けていた。





「……なるほどー、そーゆー事ねーっ」

廊下の隅で、仲良く話しながら歩く2人を見ながら、ニヤリと笑う者が1人。

後藤はづきは、いつもの黒い笑みで何かを企んでいるようなのであった。



続く………。

Re: 6年生少年少女 ラブコメ編 2 ( No.16 )
日時: 2014/01/07 20:02
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)

9話



「リア充って言葉の意味、ひきこもり歴1年の中村さんならわかるよね?」
「おれは引きこもったんじゃない。停学をくらっただけだ」
「その間、ネット環境とスマホ、キーボードと液晶画面……このセットは、無くてはならないモノだったんでしょ?」
「今でも、水と命の次に大切だよ」
「ネット依存症なんだね。小学生のくせに★」
「……あー………」
「じゃあ、ダメ人間の代表格、ネット依存症の中村さんに聞くよ」


リア充の奴等って、マジでなんなの?





「……………………………………………………………………………………は?」

一時間目の休み時間、いきなりはづきが、中村に向かって質問した。

「いや……、え?」

意味が解りませんけど?

中村はそう言おうとして、口を閉じる。

(はづきコイツ、目がマジだ…)

いつもの飄々とした雰囲気の中に、恐ろしい別の感情が入り交じっている。今、中村は心から、はづきのことを怖い奴だと感じた。それと同時に、同じ人間なのかさえ怪しいと思った。

「な、なんなんだよはづき。得意の言葉責めで破局させればいいじゃねーか」
「……そのカップルが幼馴染みとか親友だったらどうすんの?」
「………………………………」

マジでなんなの?はこっちのセリフだなんなの野郎。マジでなんなの?

「はづきは別に……顔は良いんだからさ、コクられたこともあるだろ…?」
「あるけどタイプじゃ無かったから全員フッた★」
「………………………………」

再び沈黙。返す言葉など存在しないであろう。
はづきは、男子の中村から見てもイケメンという印象があるくらい、顔は良い。
なのに、なぜ?!

「タイプじゃないって…、話してみたりすればわかんないかもじゃないか」
「……あーのーねー、中村さん」

人を小馬鹿にするように笑うはづきの顔が憎たらしい。殴ってやりたいくらい。

「オレのタイプはね、目付きが少し悪く黒髪で、ツン8:デレ2のツンデレの子なんだよ」
「え…?細かいしキモい」

はづきの『オレのタイプ』を、他の女子たちは聞いていたようだが、全部聞き終わったときに、全員が目を見開き、驚いた様子で中村を見つめていたのだが、中村は気が付かなかった。

「とにかくだね」

はづきはニヤリと笑って(黒笑み)、語り出す。

「オレは気に入らないんだよ。もうすぐ中学生になるから、とか言って小6のうちに付き合っちゃおうかー、ってゆーマセガキがさっ★」

お前もじゅうぶんマセガキだこのマセガキ!!と、中村は心の中で叫んだ。

「そんでヘタレが勢いで酸素の無駄使い発言(告白)しちゃってんのを、女子の方も勢いでオッケーしちゃうパターンがなによりもムカつくんだよねー!」
「おい、わざと大きな声を出して、みんなの精神を削ぎ取るような発言してんなよ」
「え??もしかして実行しようかなーとか思ってる人いたの??それは残念だねぇー、勢いだけの男女関係なんてすぐ破局…それ以前に、お友達の関係に留まっておしまいだと思うなーっ!」


教室は静まり返った。


「あっ、あれれーっ、みんな静かに次の時間の、じゅ、準備してたのー?ええっと、え、えらいねー…?」


教室に入ってきた、担任の倉月小夜子の高い声が、世界に存在する唯一の言葉のように聞こえるくらいの静寂だった。





一方その頃、1組でも、そのような話題で会話している者がいた。

あの、4人組である。

どうやら彼女等は、いつものように目茶苦茶な会話をしているようだ。





続く………。

Re: 6年生少年少女 ラブコメ編 3 ( No.17 )
日時: 2014/01/07 20:03
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)



10話



「男子の存在が恋する少女を産むなら……みんな死ぬしかないじゃない!あなたも、私もッ……黄色い魔法少女さんのセリフだ」
「ちょっと、みなお!パロディーネタはいい加減にしなさいよ?!」
「2人とも、なんの話してるのぅ?」
「とある魔法少女のなんちゃらかんちゃらとかいうアニメの話っしょ?」
「とあるッスか!!」

休み時間。
いつものように1組に集まった4人と、偶然側を通りかかったサナは、珍しく恋バナ(?)をしていた。

なぜなら。

すべては、くみがいつにも増して、ラノのことを話していたことから始まる。





「今日もラノさんは——」

みなおがあくびをした。

「———で、ラノさんが笑ってくれて」

リナはどこから出したのか、新しいパッキーの袋を開封し、ポリポリと食べている。

「だから、ラノさんは毎日———」
「ちょ、ちょっとストップよ、くみ」

ユリが、困ったような、疲れたような顔をしながらくみの話を止めた。

「ん?なにッスか?岡本さん」
「あなた、ラノの事が好きなのはわかるけど、どんだけ話したいの?」
「ぜ、全宇宙を私が統括し終えたその瞬間までッス!………そうすれば、ラノさんも一緒に…」
「何年かかるのよッ!!」
「…………………来年ッス!?」
「なぜ疑問系なの?!」
「わかんないッス!!」
「ええええぇッッッ?!」

みなおは、もうすでに眠りかけていた。リナはというと、1組にいる、ある人物を探してキョロキョロしているところであった。

「………………ふぅ……って、みなお!起きなさいよ!」
「おぉ…オカンがいる……」
「誰がオカンだ!…ですわ!」
「——だからラノさんはカッコいいッス!」
「な、なんかまとめに入っているっぽいけれど、誰も聞いてないわよ?!」

まったく、もう……。
ツッコミ不在になってしまったら、こいつらはどうなるのであろうか。

すると、呆れるユリの頭上にお花が降ってきた。

「あ、あわわ、あの、みなおちゃんに、ノート渡しに来たんだけどぅ…」
「…むぁ?あぁ、サナか……のぅとだろう?ありがと……」
「サナちゅわわわわわぁぁぁぁんんんんっっ!」

みなおが全部言い切らない内に、リナが危ない人のごとくサナに抱きついた。
ある人物、とは、草花サナのことだったのだ。

「はうぅっ、びっくりしちゃったよぅ、リナちゃん」
「かわうぃぃぃぃぃぃーッッッ!!」

小さすぎず、大きすぎず、細い体。フワフワしていて抱き心地も良いし、お花畑(物理的に)がすぐ側に広がっているかのような感覚…!サナは、100年に一度生まれるか生まれないかの逸材であり、天使の天然さから、みんなから愛されている美少女だ。

美少女サナの登場で、くみはあることを考えた。

「……そういえばサナちゃんは、初恋とかっていつ頃だったんスか?」
「ほぇ?初こ……………………………………………はわわわっ!!」


真っ赤になってしまったサナを、ユリがフォローする。

「いいのよ、別に答えなくても。プライベートの問題なんだから…」
「そもそも、今好きな人いるの?」

ユリのフォローを、サナに抱きついたままのリナが踏みにじった。

「い…、いるよ、えへへ…っ」

周りにいた男子たちの方から爆発音が聞こえたが、聞こえていたのはユリとみなおだけのようだ。

「だ、誰なんスか?!」
「そいつこ●す☆」
「く、くみちゃんたち、もうそろそろ授業が始まっちゃうから、教室に一回戻った方がいいよう?」

そういえば、と、時計を見ると、10分の休み時間は残り1分になっていた。

「あぁっとう……、じゃあ、次の15分休みもここ来るね!んじゃっ!」
「私も来ますわ…(突っ込むために…)」
「絶対ッスよ!!」

3人が廊下の方へ消えていったのと同じくらいに、担任白元が教室に入って来たため、サナはみなおに「また後でね」と、自分の机に戻って行った。

みなおは、ぐぅぐうと寝息をたてていたのだが。





そして、2時間目が終わって15分休みになり、5人はまたみなおの机の周りに集まって、冒頭のやりとりを繰り広げた。

そうしてやっと、くみが先程の質問の答えを聞いていないのを思いだし、話の本題へ進んだのである。





はい、続きは次回。

Re: 6年生少年少女 ラブコメ編 4 ( No.18 )
日時: 2014/01/07 20:05
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)



11話



「で、好きな人って誰なんスか?」
「いないっていうのは無しね!」

小学生って、時に残酷である。
その中の一例として、『好きな人っている?誰?いないなら、気になる人は?』が挙げられる。
この場合、答えないと「こいつはノリの悪い奴だ」と認識され、子供の社会での格が下がるため、たいへん面倒なのだ。

「はぅぅ、そんなに責めないでよぅ…」
「おっと、ごみんごみん」

リナとくみは、サナから少し離れてあげた。ぷはぁっ、と、可愛らしくサナが息を吐き出す。そのしぐささえもが愛らしい。

「……えっとね、私の好きな人は……っ、なか」
「た小次郎だ」
「人が話している時に意味の分かんないこと言ってんじゃねーですわよ!あと『なかた小次郎』てダレ?!」
「おおしろーっ☆後で刺す☆」
「悪かったよ、『なかた小次郎』には、後で謝っとくから」
「そっちに謝る?!まずはサナちゃんに謝りなさいよ!!」
「ちなみに私の叔父に、『なかじま門三郎之助』という人がいてな」
「あんまり似てないッスね」
「だろう?そもそもそんな人間会ったこと無いがな」
「叔父にいたんじゃねーのかよッ?!ですわ!」
「もー、そんなどーでも良いことは置いといて、さっ!」

途中でみなおによる茶々が入り、4人が突っ込んだりしている内に考えをまとめていたサナは、恥ずかしがりながら、4人以外の人に聞こえないように答えた。

「私が好きなのは、中村、コウくん………………え、えへへ…っ」

じゃじゃじゃじゃぁぁぁぁいいいぃいぃぃいぁぁぁあんんんん!!
弁当べんだっけか。あの、宿命、いやちがう。運命とか言う斬新な曲作った人。
そのフレーズを脳内で再生していただければ、結構です。

その曲が、3人(みなおとサナを除いて)の脳内で、鼓膜の内側から穴を空けるような大音量で流れ出したのだった。

「あわわ、いきなりどうしたのぅっ?」
「どうしたんだ?3人とも、目が死んでるぞ。しかも脱色してるし」
「あ……ありぇねぇぇ…ですわぁぁ……」
「えっ、えぇっ…?」
「ま、魔神眼の力で、精神の集中状態を高めておくべきだったっス……!」
「えぇぇっ…?えぇぇぇ…っっ?」
「あいつだけはやめよう?ね、サナちゃんは疲れてるんだよぅぉぉぇぇぇ……」
「ほぉえぇぇぇえぇぇぇぇぇ————っ?!」

なにこれデジャヴ。





一方、3組の男子2人組は。

「さぁ、中村さん。さっきからの続きの話をしようよ」
(え…?続いてたの?もう終われよこの野郎)
「えーと、どこまで行ったっけ?童貞が許されるのは小学生までだから、焦って妙な男女関係を築くんじゃなくて、高校生くらいになって、スカスカの頭でもある程度物を考えることができるようなところまで到達してから、恋愛を楽しめ、ってトコまで?あまりにも無駄な会話だったからかな、忘れちゃったんだよね★」

はづきは、ここでまた黒笑みを発動した。

(ペラペラよく話す奴だなぁ…おれ、よく聞いてなかったから覚えてないけど)

中村は呆れて、あくびをしようとした。だが、その前になんだか鼻がむず痒くなって来て——。

「…っひくしゅっ!」

——くしゃみが出た。

唾の粒が拡散しないよう、瞬時に口を手で覆っていたが、その手を見た中村は、いきなり立ち上がって廊下の方へ歩いていった。

「ちょ、ちょっと中村さん?」
「手、洗うだけだよ」

どうやら自分の唾が付いたのが気に入らなかったようだ。その通りに、中村は手を洗い終わると、スタスタと戻ってきた。

「それにしても、くしゃみねぇー…、誰かに噂されてんじゃないの?ファンとか?」
「なんだそりゃ……」
「え?なに、嬉しかったの?ストーカーっぽいことされて、さらにはファンがいると聞いて喜ぶなんて、ただの変態ドMナルシストだったの?中村さん」
「嬉しいなんて、一言も言った覚えは無い!!」
「じゃあ、思った?」
「そんなこと思いもしないね!!」
「じゃあ、感じた?」
「なんかいやらしいな!!」
「今の聞いて『いやらしい』って思うトコロらへん、じゅーぶん変態臭がするんですけどっ、ぶぶぶ」
(なんだろう、表情は全く違うけど、同じようなノリの人間、おれは知っているぞ…?)

中村がそんなことを考えている内にも、はづきは黒笑みのまま、ペラペラとドS発言を続けていた。





「へぶしっっっ…」

1組から、大きなくしゃみの音が聞こえてきた。





次回で、ラブコメ編終わろっかな。とりあえず続く★

Re: 6年生少年少女 ラブコメ編 5 ( No.19 )
日時: 2014/01/08 12:45
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)

12話(ラブコメ編最終回)



(恋って甘酸っぱいらしいな)


3時限目。1組は国語の授業中だ。
大城みなおは、ぼーっとしながら、そんなことを考えていた。


「……おい、大城。なぜここで『クラムボン』が登場したかわかるか?」
「『知らない。』」
「俺が求めているのは、そういう答えじゃないんだが…?」
「そうですね。多分、言葉の響きが良い感じにマヌケな感じだったからじゃありませんか?それで、あとでマヌケにも『かわせみ』に喰われる『お魚』の悲劇を暗示しているのではないでしょうか?」
「………今までにそんな考察したのは、世界中でお前だけだ」

みなおは、机の上にきちんと『社会科』の教科書とノートを開き、『国語』の授業を大真面目に(実はぼーっとしてた)受けていたと言うのに「真面目に授業受ける気あんのか?」と注意された挙げ句にさっきの質問をされた。

(「見逃してちょんまげ☆」…って言うべきだった……!畜生…っ!)

いや、自業自得だろ。それ以前に、後悔するところが違う。

「…まぁいい。今回は職員室行きまではやめておいてやる」

白元は、なんだかんだ言って優しい人間だ。

「行きたいです。暖房があるのでしょう?」


その優しさを跳ね返す者は、生徒の中ではみなおしかいない。
そうしてみなおは、さっきまで考えていたことを全部忘れた。





2組は、4組と算数だ。
奇数クラス組と偶数クラス組で行われている少人数授業は、自分の教室と、相手側の教室、それともう一教室、『遠いよ!活動室!』を使用する。

(遠いですわ…!)

算数の道具を抱えながら、ユリも活動室へ向かっていた。

(くみも、4組の男女グループに入っていますし…近寄りたくありませんわね)

くみは、ラノを含んだ男女混合グループにすんなりと溶け込み、笑いを取っていた。
くみがユリに目をやると、ユリは遠慮する、といった感じで首を振った。

なぜ遠慮したのだろうか。嫉妬?恥ずかしい?


いや。

(……男子さえいなければ………………っ!!)

どっちも違う。
ユリは、男子嫌いの性癖があった。恐怖症ではなく、ただ単に嫌いなのだ。





「ねぇねぇ、ぱー君っ!」
「ナニ、今、授業、中」
「たははーっ、でもでも、自習だよぉーっ?うちはドリルも終わったし、やることなっしんぐなんだよねーっ、パー君も終わってるでしょ?」
「なら、読書、スル」

隣の席に座る、宇宙からの転校生にずっと話しかけているのは、リナだ。

「えぇ——っ!!今日は本、持ってきてないよ!」
「じゃあ、貸す、から」

渡された本をパラパラとめくってみるリナだが、どんどんしかめっ面になり、すぐに、本を閉じてパプキに返した。

「ソクドク?」
「挿し絵がないから読めないよぉ〜〜っ」
「…ソウ」

パプキは、すこししょんぼりとした様子で、本をしまった。

「…じ〜〜〜〜〜〜〜っ…………………」
「今度は、ナニ?」

ピンクの髪色、青い瞳、頬のバッテン…。
明らかに人間と違う色で、いや、そのとおり人間ではないけれど。

「…んっ?あぁ、いやぁー、キレイな顔だなぁーって思ってさ!」
「ソウ」

(もっといっぱい話して、仲良くなりたいなぁー)

ちィッッッ、滅せよ無自覚…!

パプキの耳に、そんな呟きが聞こえた。

(きっと、空耳)

本人はまったく気にしていないようだが。





(ラノさん、今日もカッコいいッス…!)

くみさん、安定のベタ惚れ。





この4人に恋なんて組み合わせてしまった時には、確実に地球は滅ぶと考えられる。

「私は、恋、してるッスよ!!」





中二病でも、恋ができる!(アニメに謝っとく!)

恋愛編、完。

『変』と『恋』って、漢字似てるね。ネタにすればよかった(後悔)。

作中引用
自分の国語の教科書 宮沢賢治・作 「やまなし」

変人物語は、なお、続く模様です。