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Re: 変人又は奇人(それと馬鹿)。《初等部編完結!!》 ( No.197 )
日時: 2014/05/18 14:20
名前: 目玉ヤロウ (ID: BKGAQbzV)



序章
ギョーカイ用語で
少女。



静岡県某所に、とある学園があった。
小中高一貫校という仕組み、奇妙な入学試験、覆面校長——。何もかもが『異常』で『奇抜』な学園。

だが、なぜだか高い実績を誇っており、ここの学園から世へ羽ばたいて行った卒業生らは、様々な部門で活躍していると聞く。

それもそのはず、全教室冷暖房完備、網戸つきの窓、比較的新しく設立された校舎、やたらと品揃えのよい購買、女子に人気の可愛らしい制服。

学園内の整った設備は、将来性のある生徒たちを育てるのには、十分な役割を果たしているのだ。
ちなみに、中学生に進級すれば、昼食は弁当持参である。


もちろん、この学園を志望する生徒は多い。


だが。入学試験内容も一般的なテストとは違い、学園の仕組み同様、かなりぶっ飛んだ内容となっている。そのため、どれだけ勉強しようと、あまり参考にならないのだ。

テストの内容は、2つの内、どちらか片方を選ぶ形式となっている。

2つの受験コース名。

1つは『普通コースだよッ☆』もう1つは『変人コースだよぉッ☆チョ〜おすすめだよんんッ☆』。


とんでもない命名である。


2つの受験コース——名前を決めたのはもちろん校長だが——を見比べ、あなたはどちらを選択するだろうか。

ほとんどの人間は、『普通コース(以下略)』と答えるだろう。いや、答えてほしい。

だが、残念なことに、このコースで合格した者は、歴代でも数名しかいない。

なぜならば、この『普通コース(以下略)』、内容は鬼畜レベルなのである。
『普通』の皮を被った鬼、とでも言うべきであろう。
一般的な幼稚園児には難しすぎる問題が登場していたり、意地の悪い、変化球質問をなげかけられたり……。
そう、『普通コース(以下略)』で受験する子には、『神童』レベルの頭脳が求められるのだ。

まだまだよちよちしているような幼稚園児に残酷な運命を突きつける親は、余程の事情を除く限り、あまり存在しない。


そこが狙いなのかもしれないのだが。

ここだけの話、過去に、無謀にも『普通コース(以下略)』を選び散々な結果を弾き出した生徒が見事に合格した、という事態も起こっているらしい。その生徒は面接時、校長直々に『勇気とやる気がすばらしいで賞』を与えられたそうだ。


簡単に言えば。


この学園が、最も欲している生徒。

それは——

変人、又は奇人(それと馬鹿)。

——なのである。