コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 6年生少年少女 テスト編 3 ( No.40 )
日時: 2014/01/13 18:38
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)




16話



空白の用紙。

その『白』に焼き付いているのは、『黒』い、文字。

『問題』というモノが求めているのは、挑戦者の『解答』である。

その『解答』に求められるモノは、『正答』のみ。

『誤答』は許されない。


——そう、決して。





(あっ、この問題、チャレ●ジでやった所だ!……なんてな)

みなおは、いつもと同じような表情——つまりは真顔——で、淡々と解答欄を埋めていた。

(んー?なになに、『法隆寺…』うむ、まだ問題を全文読んでいないが、多分「造ったのはだれかな?」的なものだろ、うん。答えは「大工さん」、と…)

ちなみに、今の問題は、『いつ頃造られたかな?』的なものだった。こいつ、問題は全文よく読まなければいけないと習わなかったのだろうか。いや、そもそもすべてがおかしい。

(そういえば、モブ谷はどんな様子なのだろう?)

ふっと顔を上げてモブ谷を見てみる。テスト中のために机は離れているが、少し視界に入ってくる程度なら、顔を見ることができたのだ。
じっくりと問題と向き合い、鉛筆を走らせているモブ谷の表情は、みなおとはまた違った無表情だった。

(なんか真面目にやっているなぁ)

ふぅっ、とため息を漏らしたみなおは、また、テスト用紙に視線を戻す。

(『奈良時代、なぜ大仏をつくろうとしたのですか?』だと?そんなもん、ゆるキャラをつくって日本中に広めたかったからに決まっているじゃないか)

今度の問題は全文読んだのだが、やはり訳のわからない答えを書いておく。

(目指すはワースト一位だ。がんばるぞ)

がんばるところも、ずれていた。





一時間目に社会。

二時間目に国語。

三時間目に算数。

四時間目に理科。


一日の授業の中で、県の定着度調査(テスト)は、午前の授業時間をすべて用いて行われた。

普通、このテストは国語、算数、理科、社会の順で行うものである。
だが、ここの学園は、変人仮面校長の「あみだで決めちゃうよーっ☆」という一言によって、メチャクチャな時間割りになってしまったのだ。

そのテストも、ついさっき終わったところである。


「終わったーっっ!!ねぇ、パー君はどうだった?今回のテスト!!」

3組では、リナがいつものように屈託のない笑顔で、パプキに話しかけていた。

「うん、社会、算数、ヨユウ」
「ドヤ顔で言われちゃったよ!じゃあじゃあ、社会と算数以外は?」
「………………国語、普通」
「理科は?」
「………………ニガテ、だった、だけ」

パプキは異星人のため、自分の星とまったく異なる性質を持つ、地球の科学に関してはお手上げだった。あと、言語の違いにも戸惑っていたのだ。

「あー…、まぁ、国語はしょーがないっしょ?」
「最ちゃんは、地球語、上手い。羨ましい」
「えーっ、そりゃあそうだけど!それは個性だよっ!こーせーいっ!!」
「個性?」
「うん!パー君、最ちゃんよりも上手にできること、たくさんあるでしょ?」
「…そう、か、それなら、理科と、国語、以外、勝てる…!」

パプキ、意外に負けず嫌いである。
その様子を見て、リナは「やっぱり面白いなぁっ、パー君は!」と言うと、また笑い出した。

「あぁっ、そういえば!」

突然、リナが思い出したように大きな声を出した。

「リナ…?どうか、シタ?」

パプキも少々驚いたように、数ミリ程度目を見開く。
すると、リナは秘密の話をするときのように、身を縮め、パプキの近くに顔を近づけて、周りに聞こえないよう、小さな声で話し出した。

「……はづって、どうだったんだろ」

トップを狙い(モブ谷への嫌がらせのため)、真面目に勉強し出した(モブ谷への嫌がらせのため)幼馴染みの結果が、リナは気になって仕方がなかった。

「もしもトップ取れ無かったら、馬鹿にしようとしてるんだ☆」
「……多分、リナ、より、できてる」
「……犯行予告と違うことになっちゃったら、面白そうじゃん☆」
「ハンコウ …?」
「うーん、結果はどうなるのかなっ☆」

嬉しそうに、無邪気に笑うリナも、はづき同様恐ろしかったため、パプキは返答に困る。

「………結果は、神のみぞ、知る…」


そうやって、適当にはぐらかしたパプキは、給食の時間の準備を始めた。





続く……。