コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 6年生少年少女 少し実録番外編 ( No.48 )
- 日時: 2014/01/18 22:58
- 名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)
少し実録番外編
最近、静岡県浜松市の小学校で、嘔吐下痢の症状が出るノロウイルスが流行っているようだ。
ちなみに、変人どもが通う学園も浜松市に設立されている(3次元の世界にこんな学園は存在しないのでご心配無く)のだが、まだ、このような症状が出たのは、初等部でも数名ほどであった。
大城みなおは、夜、晩御飯の後にテレビをつけて少し驚いた。
「私が幼い頃に世話になった医者がテレビに映っているではないか…!」
非常にどうでもいい、が、田舎の医院が全国放送の教育テレビで紹介されているということは、浜松市でなにか異変があったという知らせである。決して他人事ではないのだ。
それに今日、学園中にプリントが配られたばっかりではないか。
プリントの内容は、食中毒対策のために、学園で行うことについてのお知らせだ。
食中毒が原因で起こっているこの現象に教育委員会は、原因として給食のパンが悪かったんじゃないの?という結論を出し、なんと金曜日の給食のパンは、そこらへんで市販されているような6枚スライスの食パンになった。
しかも、月曜日から水曜日にかけて、給食は停止。昼食は弁当持参に。親にしてみればいい迷惑である。
だが、子供たちにとっての弁当は決して悪いものではない。
むしろ嫌いな食品が登場せずに、丁度いい量だけ食べることができる弁当の方が好きな子供も多いだろう。
「あげパンが登場するのは木曜日…、ならば問題はないな」
みなおよ、お前は呑気な子供だな。
☆
「のろううぃるす…」
「言えてないよー、中村さん」
「…のろ菌」
「ぶぶぶっ!!り、りゃ、略したのっ?」
「………………その通りだけど?ほら、ニュース見ろよ」
「あぁー、南区でヤバイところって、一校だけみたいじゃん」
「ヤバイところって…軽い言い方だな」
「えー?だって別にオレがノロにかかった訳じゃないんだしぃー」
少々時間を遡り、みなおが晩御飯を食べ終わる前。
はづきの家に遊びに来ていた中村も、勝手にテレビをつけてニュースを見て、少し驚いた。それに対し、はづきはいつもと同じように、ヘラヘラした様子だったのだが。
「…………っていうか、はづき…」
「ん?」
「……ラノ、家に入れてやろうよ」
はづきと中村がテレビを見ているここは1階だが、時折窓の外から声が聞こえてきていた。カーテンで遮られていて外の様子は見ることができないが、その声は、絶えず室内へ抗議している感じだ。
無論、声の正体は、はづきによって外に閉め出されてしまった悠木ラノのものだった。
「ちょーっとぉぉーっ?!家に入れてくれませんかぁぁーっっ?!」
「なんだか汚い鳴き声を発する生物が庭にいるみたいだねー、中村さん。こっちの方がノロよりも怖くない?」
「………なんかどうでもよくなってきたな」
「コォ——ウゥッッ!!助けてぇぇ————ッッ!!」
「うるさいなぁー、雑音にしか聞こえないよ??」
「うん、そうだな」
酷い扱いだ。
ラノは虚しくなってきた。警察官のお兄さんが出動して来るかもしれない。お姉さんの方がいいな…じゃなくて。
なぜこんなことに?!
いきなりはづきが「宿題サバイバルやろっか」とか言い出して、ラノがビリになっておつかい頼まれて…?
閉め出されたんだ!!
ラノがそんなことを考えていると、突然、シャッとカーテンが開いた。窓越しに見える室内には、ニヤニヤと気味の悪い笑顔をしているはづきと、呆れた顔でラノを見下す中村の姿があった。
「こんにちはっ、ラノ君★」
「うぅ…あんまり酷いと帰っちゃうよ…?」
「勝手にしなよ、塵虫野郎★」
「ゴミムシはやめよっ?!」
「なら、勝手に凍死しなよ、カス以下の屑虫野郎★」
「そりゃあ寒いけど?!だから家に入りたいんだけど?!っていうかクズもダメでしょ?!」
「テメェの要望なんかにいちいち答えたくないんだけど★」
「…………………………………えぇ…っ?!……」
「……ラノが気の毒だから、入れてやれよ」
結局、中村の気遣いにより、ラノはぐったりしながらも後藤家に上がることができた。
そして、心底疲れた…、みたいな表情で、ボソッと呟く。
「ずーっと外にいたら、お腹空いて食中毒になっちゃうところだったよ…」
「「……は?」」
ラノは真面目に呟いていたようだが…ん?
中村は、ラノが絶対的になにかを間違えているような気がした。
はづきも、今の発言になにかを感じ取ったようだ。
「あのさぁ、ラノ」
「なに?はづき」
「食中毒って、どういうモノだと思う?」
穏やかな笑みではづきがラノに問う。
ラノは、当たり前のように言い切った。
「お腹が空いて、ムショーに食べ物が食べたくなって、食事中毒になることでしょ?」
「…………………ふぅ」
「とりあえず、人生やり直した方がいいよ、ラノ」
「なんでコウは溜め息ついたの?!あと人生やり直しなんてできないよ?!」
変人物語は、なお、続く模様です。