コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 6年生少女 番外編 ( No.7 )
日時: 2014/01/01 11:19
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)



番外編



今日は、私目線で、ここ、初等部6年生の様子を紹介したいと思います。
私の名前は草花サナです。覚えてた人がいたら、嬉しいです。

6年1組は、平和で、あんまり喧嘩とかはしません。
みんなが優しくて、私は、ここのクラスでよかったと思っています。





今日も、朝の会の時間になりました。今日の当番さんは、みなおちゃんとモブ太君です。

モブ太君が大きな声で、朝のあいさつを始めました。

「おはようございま……」
「ちょっと待てモブ郎」

でも、みなおちゃんが止めてしまいました。

その後、みなおちゃんは白元先生と言い合いをして、途中で朝の会の終わりの時間になってしまって、席に戻って行きました。

みなおちゃん。
平和なこのクラスの中で、1人、不思議な空気を出している子。
友達に「みなおちゃんって、不思議だね」と言ったら、友達は困ったような顔をして「ありゃ、変、って言うんだよ」という返事を返してくれました。

本当にそうかなぁ……。

私は、みなおちゃんのことが気になってしかたありませんでした。

それに…。あの人、との関係も気になるし……。

みなおちゃんが原因で起きた、あの事件のこと。





2年前、当時4年生だった、今の6年生の中で、ちょっとした噂がありました。

「どうやら、他校から転校生が来るらしい」

それが、噂の内容でした。私の耳にも、その噂は入ってきました。

そして、ある、秋の日のこと。
月一回の全校朝会がある日でした。

体育館前のステージに校長先生——その日のお面は青い猫のロボットさんでした——が立つと、みんなは静かになりました。

「おはよーございまっす!!生徒と職員のみんな!今日は転校生を紹介しちゃうぞぉーっ☆」

大きな声でそれだけ言うと、校長先生はステージ裏に向かって、手招きしました。

「カモン!ベイベ〜〜〜ッッ☆」

キラキラと輝きながら、大きく手をふる校長先生。ステージ裏からは、誰も出てきませんでした。

しかし。

「いたいけなチルドレン達よ。私のために集まってくれて、ありがとう」

かわりに、体育館の入り口に、見慣れない制服の女の子が立っていました。
チルドレン、のところをかっこよく言っていたのは良かったと思ったけれど、いたいけ……ってなんだろう。

「おぉっ、入り口から登場?!」「だ、だれだれ?」

みんなが、その女の子の登場によってざわつく中、校長先生はニッコリとした笑顔で言いました。

「さぁっ、入り口から登場したのは、他校からの転校生、大城みなおさんでぇーすっ!!」

わあぁっと盛り上がる体育館。私も、噂は本当だったんだ、と思いました。

「…でも大城しゃーん、体育館裏から登場しようって打ち合わせしたじゃん」

「打ち合わせしてたんですか…」と、誰かがボソッと呟いていたけど、私は、打ち合わせは大切だと思ったので、良いと思います。

「いや、来る途中に腹が減ったので、腹の虫を黙らせるために購買に行ったら、そういえばお金持ってないじゃん。っべーわ(笑)状態になってしまい、お金を持ってくるために家に帰って、パン食べてきたからおそくなっちっただけです」
「そうかぁー、大変だったんだねぇ」

「なぜお金を持ってくるために帰ったというのに、家で食事すましちゃってんですか…?そしてなぜだれも突っ込まないんですか……?」と、また誰かが呟いていましたが、ひどく落胆している様子だったので、なぜそんなに落ち込んでいたのかはわからなかったけど、私は心の中でその人を応援しました。

「まぁ、大城しゃーんは4年2組だから。4年2組の諸君!よろしくね!」
「ふつつつつつつつかものだが、よろしくお願い致します」

つ、をいっぱい言った女の子、大城みなおちゃんは、私と同じクラスでした。

…同じクラス!?


これが始まりでした。




続く……。

Re: 6年生少女 番外編 2 ( No.8 )
日時: 2014/01/01 23:54
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)




番外編 2



全校朝会が終わり教室に戻ると、みなおちゃんは空いていた席に座りました。
まるで、1年生の頃からここの学校に通っていた様な自然な動作だったのに、なぜだか私は、みなおちゃんの周りから、他の世界の雰囲気を感じてしまい、上手く話しかけることができませんでした。他の子たちも、そんな感じでした。

でも、私は一層、みなおちゃんの不思議さが不思議になりました。
(話しかけたいなぁ)
その一心だったのです。

しばらくして、担任の白元先生が教室に入ってきました。そして全員が席に着いたのを確認すると、教室中央あたりを見つめながら話し出しました。

「皆が知っている通り、ここ、4年2組に転校生が来た」

廊下側最後尾の席で、ぼーっとしているみなおちゃんに、クラスの視線が集まりました。でも、本人は別に驚いたりもせず、やっぱりぼーっとしたまま、どこも見ていないのでした。しかも…

「あぁ、自己紹介ですか?」

淡々とした様子で、みなおちゃんは白元先生に言います。

「…したけりゃすればいい。大城の自由だ」

白元先生はみなおちゃんを、いつもの怖い顔よりも怖い顔で睨みます。

(あわわ、先生、ちょっと怒ってる…っ?みなおちゃん、もう少し遠慮しようよぅ…)

私はみなおちゃんが心配になってきました。
でも、無表情で次の言葉を考えているみなおちゃんは、まったく遠慮しなさそうな様子です。

「………まぁ、全校朝会の時、体育館でどうどうと自己紹介したので、名前はいいですよね。ダジャレにしときます」
「自己紹介時にダジャレなんて聞いたことないんですけど…?!」

やっぱり誰かが、またボソッ、と呟いていました。

「いや、いらん」

白元先生はキッパリと、みなおちゃんのダジャレを聞くのを断りました。私はそのダジャレを聞いてみたいと思ったので、機会があれば聞いてみたいとおもいます。

「……まあ、仲良くしてやってくれ。今からは他のことをする」

他のことってなんだろう?私や他の数人の子達は首を傾げました。それを見た先生は一言。

「席替えだ」


私の心が、トクン、と音をたてたのが聞こえました。





そのころ、私には好きな人がいました。
お母さんやお父さんは口を揃えて、「最近の子って、マセているんだね」なんて言うけれど、人を好きになるのは、何歳からでもいいと、私は思います。
ちなみに私、2年たった今でも、その人のことが大好きです。片想いですが。

4年生だったときのクラスには、その、好きな人もいました。

……私はみなおちゃんが転校してきた日の席替えで———。





「や…っ、やったぁ…っ!」

くじ運は良いってわけではありません。
くじ引きで決める席順。いつもいつも、大好きな、あの人の近くの席に行きたくて、でも遠くなっちゃって。

でもその日は違いました。

自分は窓際最後尾。

目の前の席にはあの人——中村コウ君。

その隣に、みなおちゃん。




——私は神様に、心から感謝しました。





続く……。