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Re: 6年生少年少女 再会編 1.5 ( No.76 )
日時: 2014/01/29 12:05
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)




18.5話



少年は走り出した。校門付近で会話した女の子達に別れを告げ、初等部6年生の靴箱がある玄関まで、真っ直ぐに。

その走りは、プロの陸上選手を思わせるフォームだった。

ここから玄関まで結構な距離があるというのに、短距離走を走る要領で全力疾走する少年の走りには乱れがない。

(もっと…速くなきゃ駄目なのに…!)

人にぶつからないよう、走りながらも体を捻らせひらりとかわしていく。
この人混みで、全力疾走しているのにも関わらず人とぶつからない少年は、まわりの子供達を驚かせた。

自分達とは違う、他校生の制服を着用した足の速い6年生が、校庭を横断している——。

この状況は、当然、教師達にも伝えられた。

少年が走っていると、後ろから新たな足音が聞こえてきた。

「……おい、ガキ、一度止まれ」
「……?!」

目付きが悪くガラも悪い、恐らく教師だと思われる男が、少年の後ろから追いかけてきていた。
他校生の侵入を学園側がどうにかしようとしたようで、少年が少し後ろを振り返ってみると、数名の教師達が、少年の後ろに付いてきていた。が、ピッタリ追いかけて来ていたのは、目付きの悪い教師だけのようだった。

(この先生、速い…!)
「おい、聞こえなかったか?」

じりじりと間を詰められながら、少年はなお、走り続ける。目付きの悪い教師はそれが気に入らないらしく、こちらも加速する。

「もう一度言う……止まれ」
「いゃ…です!!…僕は…止まりません…!」
「…なぜだ?」

少年は止まった。もう玄関が目の前にあったし呼吸も整えたかったからだ。

「…大城…みなお…に……、速く…会いたい…っから…です…!」
「……大城?」

ピクッ、と、目付きの悪い教師の表情が、固まった。それでも元の表情に近いが。

「…っ!知って、るんですか?!」

少年の表情は、教師の表情に反して、明るく希望に満ちた笑顔になった。

「 ……知ってるもなにも……そいつは俺が担当している教室のガキだよ」

少年の表情が、また、明るくなる。

「……おい、名前を聞いてねぇな、クソガキ…名前を名乗れ」

教師の目を、陰り一つ無い瞳でじっと見つめた後、少年は、またにっこりと爽やかな笑顔を浮かべ、「はい!」と返事をし、喋り出した。


僕の名前は佐々木たくと申します!
好きなのは女の子で、将来は世界中の女の子をお嫁さんに迎えたいと思っています!
女の子のパンツも大好きです!
でも、本命はただ一人!

大城みなおさんを、僕は世界で一番愛してます!!


「校長室に来い」





続く……。