コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 6年生少年少女 再会編 3 ( No.82 )
- 日時: 2014/02/07 17:12
- 名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)
20話
(みなお…!どこにいるんだい…っ!?)
たくは走る。廊下を。
「おい…!止まれクソガキ…ッッ!!」
教師——白元も走る。廊下を。
2人は滅茶苦茶速い速度で走っていた。周囲の人間とぶつからなかったのは、周囲の人の方が、2人を危険だと見なして避けてくれていたからだろう。それほどまでに、2人の発するオーラは『ヤバイ』ものだった。
だが、大人である白元のほうが僅かに速いようで、だんだんと2人の間は迫っていく。
(…速く、会いたい!)
たくがそう思っていた刹那——。
追い付いた白元に肩を掴まれてしまった。
「もう…無意味な『鬼ごっこ』はお仕舞いだ、この野郎……!」
鬼のような表情の白元に、たくは再び校長室へと引きずられて行かれそうになる。
(僕は…こんなところで諦めないッッ!!)
大きく息を吸い込むたく。白元はぎょっとして、先にある未来を推測し、急いでたくの口を塞ごうとした。が、それは間に合わず、推測された未来と同様の事態は起こってしまった。
「みなおぉぉぉ——ッッ!!約束っ、成し遂げに来たよぉ——ッッ!!出てきてくれないか——ッッ?!」
良く通る声だった。
☆
廊下から大声でなにかが聞こえてきた。
それにいち早く気付いたのは、くみだった。
「むむむ?!強い音波を感じ取ったッス!!」
わざとらしく耳に手をあて、目を輝かすくみを見て、他の面々たちも、耳をすましてみる。確かに、と頷いたのははづきだ。
「そりゃあ今の声なら、聞こえて同然でしょ?」
「…絶叫…?」
「断末魔とかかなっ?」
「ってか、言葉なのかどうかさえ怪しいね〜、今の鳴き声じゃあ」
いつもの生活に少し異常が混じると、少し好奇心がわくものだ。
くみ、はづき、中村、リナの4人は、微妙に興奮気味である。
それに対しみなおは、やはりいつものように、淡々とした真顔で————。
「……大城?」
いや、みなおは、目を見開いて『驚きが隠せない』という言葉の似合う『表情』を浮かべていた。
「……はは…っ…無駄な表情筋を使ったのは…何年振りだろうな…」
「…?」
まさか、知り合いか?
中村がみなおに質問しようとした次の瞬間、廊下を物凄いモノが横断していくのが見えた。
白元に腕を引っられているのにも関わらず、その流れに逆らい、1組へと進む学ランの少年——佐々木たくと、変人達との、初対面だった。
☆
たくは必死だった。
必死に、抗った。
鬼畜教師白元の腕から逃れ、大好きな幼馴染みに再会するために。
(待ってて、みなお!今、会いに行くから!!)
こうして見ると感動モンだが、端から見ればたくの姿は、『教師に止められながらも反抗し続けているちょっと頭のおかしい少年』にしか見えないため、感動的な場面だと勘違いしないでいただきたい。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」
「調子こいてんじゃ…ねーぞ……クソガキィ……ッッ!!」
なんかアホな戦いが繰り広げられていた。
☆
丁度その2人が3組前の廊下に差し掛かったとき、みなおは確信した。
「たくか………っ!」
(あいつと大城って、知り合いなのか?!)
中村はぐるぐると思考を転回した。
あいつ(たく?)とみなおの発言(叫び声含む)から考えると、キチガイ少年『たく』とは、再会する約束を成し遂げにやってきた、他校生だったみなおの幼馴染みかなにからしい。
(…修羅場の予感が…)
中村の、その予感は的中した。
しかもその『修羅場』に、自分も巻き込まれることになるなんて。
この時の中村には、そこまで思考を転回させている暇は無かった。いや、『無くなった』のほうが正しいかもしれない。
なぜなら。
「み…みなおぉっ!?」
3組内のみなおを発見したたく(白元付き)が、教室内に(白元と共に)乗り込んできてしまったのであった。
続く……。