コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/8更新】 ( No.8 )
日時: 2014/01/22 15:53
名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: tnkG6/9W)

*3*

 桜と友達になった一週間後の四月の始め——僕は秋明中学に入学した。
 この学校の生徒はほぼ小学校からの持ち上がりらしく、クラス分け後の教室で、僕はまだ誰とも話せずにいた。
「はぁ……」
 周りに聞こえないように、そっと溜め息をつく。積極的に話しかけた方が良いのだろうけど、すでにグループが決まりつつある。どうしようかと考えていると、
「ん? お前、見たことねぇ顔だな。転校生か?」
 と、隣から声をかけられた。
「ああ。春休みに東京から引っ越して来たんだ」
「東京!? マジで!? 俺東京行ったことねーから、都会のこと色々教えてくれよ!! 俺、堂本燐って言うんだ。燐でいいぜ」
「僕は桔川梗。梗って呼んでくれ。僕にもこの辺のことよく教えてくれる?」
「もちろんだ! よろしくな!」

 一人と話せるとすぐに他の人とも話せるようになり、すぐに打ち解けることができた。皆、とても明るく、良い人ばかりだった。

 ドタバタだった中学校生活初日は、あっという間に駆け抜けて行った。

          *

 中学校に入学して早一週間、ドタバタしていた毎日は、ようやく落ち着いた日々に変わりつつあった。

 ——昼休み——

「なぁ、梗。部活どこに入るか決めたか?」
「バスケ部。燐は?」
「俺も同じで、バスケ部!!」
 初めて僕に声をかけてくれた燐は、もう親友と言って良いレベルまで仲良くなった。他にも友達は出来たが、休み時間は基本燐と一緒に行動している。けど……
「まさか部活まで一緒とは……これって運命じゃね?」
 楽しそうに笑う燐に、僕も笑いながら言う。
「男同士で運命とか、気持ち悪いからやめろよ」
「ハハッ! だよな!!」
 ひとしきり笑った後、僕は燐に訊ねた。
「バスケ部の仮入部って、今日の放課後だっけ?」
「あぁ。体育館にジャージ着て集合って言ってた。授業終わったら一緒に行こうぜ」
「分かった」

 早く部活がやりたくて、僕は午後の授業が一分でも早く終わる事を願った。

          *

 ——放課後——

 僕と燐はジャージを着て、体育館へ来ていた。僕達の他にも、バスケ部入部希望者の男子が五人と、マネージャー希望の女子が一人いた。

「集まっているな」
 体育館の扉が開き、先輩達と顧問の先生が入ってきた。
 そして、背の高い先輩が一歩前に出て口を開いた。
「部長兼キャプテンの三年、柳雪翔だ。今日は仮入部だから見学と軽い基礎練習をして、バスケ部の事を良く知って欲しい。仮入部期間は今日から一週間。他に気になっている部活があるなら、悔いを残さないように良く考えること。それでもバスケ部に入りたい奴は、一週間後に入部届けを持ってこい。俺からは以上だ。……じゃ、始めるぞ!!」

 その後、僕達は基礎練習をして、先輩達のプレイを見学した。
 それは言葉にならないほど素晴らしいもので、特に柳部長はダントツに上手で鳥肌が立つほどだった。
 僕はそのプレイを目に焼け付けながら、一つの目標を立てた。


 一週間後、僕はバスケ部に入部届けを提出した。
 胸に刻んだ『いつか部長を越える』という目標を達成するために。