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Re: 共鳴のプラネット【1/26更新】 ( No.27 )
日時: 2014/01/26 16:01
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 第2章 マリオネット

 三人での共同生活。
 何でも分担制だ。
 今日は夕映が夕食の準備だった。

「今日、シチューでいいかな? 買い物に行ってなくて……」

 冷蔵庫に入っている物を確認しながら、夕映が二人に聞いた。

「全然いいよ。夕映のシチュー美味しいし」

 響が笑顔を向けて言った。夕映は安心して具材を取り出した。

「俺、先に風呂入ってくる」

 伊織がソファから立ち上がって、浴室へ向かった。
 



「……わっ」
 
 夕映が料理をはじめて間もなく、小さく声を上げた。思い切り服にシチューを垂らしてしまった。
 一旦火を止め、洗面所へ向かう。
 エプロン買ってこなきゃ……と考えながら。
 洗面所の扉を開けると、上半身裸の伊織の姿があった。

「……夕映?」
「……ごめんなさい」

 勢いよく扉を閉め、夕映はその場に座り込む。やってしまった……両手で顔を覆う。
 その時、扉が開き、夕映の身体が持っていかれた。また、扉が閉まる。今度は伊織の手で。

「な、にして……」
「汚れてんじゃん。はやく洗えば? それとも、冷静な夕映でも意識しちゃうんだ?」

 伊織の挑発に乗ってしまい、夕映は蛇口を捻り、水を出した。パーカーを脱ぎ、真っ黒なTシャツ姿になる。半裸の伊織を視界に入れないようにし、鏡も見ないようにする。

「はやく着替えて出て行ったら」

 夕映が冷静を装いながら伊織に声をかける。
 そう言った途端、伊織が後ろから夕映に抱きついた。夕映もさすがに動揺したようで、パーカーを洗っていた手が止まる。

「パーカーだけじゃなくさあ……こっちも脱いじゃえば?」

 そう言って、Tシャツの裾を握る。夕映は濡れた手で伊織の腕を掴んだ。

「冗談やめてよっ……伊織!」

 伊織は夕映の腕を夕映の背中で拘束し、いとも簡単に自由を奪った。密着状態。夕映は焦りを覚えた。伊織が服を着ていないせいか、熱がすごく伝わる。

 裾を握っていた伊織の右手が少しずつ夕映の身体の中に入ってくる。不覚にも心臓が高鳴っている自分に渇を入れたくなった。

「ここで、しちゃおっか」
「なっ……」

 そう言った途端、伊織の人差し指が夕映の素肌を優しくなぞる。少しくすぐったい感覚に夕映は身をよじらせた。

 そんな反応を見せた夕映をくすりと笑い、伊織は拘束を解いた。その場に崩れ落ちた夕映は少しだけ顔が赤くなっていた。

「初な夕映かーわい」

 そう言って、扉を開き、服を着ながら伊織は外に出た。

「……伊織のバカ……」

 腹いせに、その日の夕食のシチューには伊織のだけ肉が入っていないという地味な嫌がらせをした夕映であった。


                            第2章 完