コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【参照50超絶感謝!】 ( No.22 )
- 日時: 2014/01/10 01:31
- 名前: 紗銀 (ID: xyOqXR/L)
「ここですわ」
そう言って紀伊は進めていた歩を止める。目の前に、大きな扉。
「ここは?」
「コード達の集会所、通称大広間ですわ。新入りがいるので、多分皆いますわよ」
そう言って紀伊さんは扉を開ける。
広い。それが第一印象。
「ここが家の中で一番広い場所ですわ」
「家?」
「えぇ。私たちコードは家と呼ばれる地下に住んでいますのよ?」
なら、ここは地下ってことか。地上が気になるが、今はやめておこう。
「皆いますわね」
つい広さに囚われて、気づかなかったが、真ん中に大きめの丸机。それを囲むように座っている男女。僕と紀伊さんを除いて、5人。さっきいた緑色の女の子、瑠璃もいる。
「紀伊、そいつが今回の新入りのコード:07 明人か?」
ずっしりとした声だった。管理人とはまた一味違う、威圧感がある声。
「えぇ、そうですわ」
それをまるで慣れたかのように答える紀伊さん。この人は一体誰なんだろう。
「じゃあまずは自己紹介しねぇとな」
その人が立ち上がる。
威風堂々とした姿だった。覇王のような目つき、雰囲気。近寄りがたい。その男性が、口を開く。
「覇流だ」
3文字、一言だった。でもずっしりと——、重い。体中に響く声だった。痺れる。
「あ、えぇと……」
とにかく何か喋らなくては。しかし、それが失敗だった。
「臆病者が。口を開くな」
「ひィ……!」
体中が痺れた。痙攣を起こしたように震える。何が起きたんだ。
「ごめんなさいですわね」
少し間違ったような上品な言葉で紀伊さんが小声で僕に言った。
「覇流はオドオドしてる人が嫌いなのよ。だから、あの、とかはやめたほうがいいわ」
あぁ、なるほど。いわゆる彼は『王様』か。
「ちなみに覇流は、コード:01。モノクロ:コードの指揮者だわ」
紀伊さんが言う。
「偉そうな者じゃねぇさ」
それに答えたのは、覇流さんだった。さっきとは違う、少しだけ穏やかな声。まぁ威圧感は残るが。
「覇流は肝が据わった人を好みますわ。私たちには優しいんですのよ。明人も変わったらいいと思いますわ」
再び紀伊さんが僕に小声で言う。小声で僕に告げる彼女は、どこか楽しそうだった。
——変われ。
それはとてつもなく突然で、何かが頭の中で反響した。否、何かと言うのは間違っている。なぜならこれは、聞き飽きた自分の声。先程管理局でも聞こえた自分の声。
そしてそれは、頭の中で反響しては消え、再び反響して消える。