コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【参照100超絶感謝!】 ( No.33 )
- 日時: 2014/01/10 22:32
- 名前: 紗銀 (ID: Mu5Txw/v)
僕は紀伊さんと二人、来た長い廊下を歩いていた。
しかし、長い廊下だ。壁が全て白で統一されているので、自分がどれだけ歩いたのかすら正確には分からない。これは、かなり頑張らないといけないな、と思う。
「部屋ですわ」
紀伊さんの言葉に僕は止まる。何の色すらない壁に、突如窪んだようにある扉。その扉の奥にあるのがこの空間よりも広くなっているだけの空間。それが『部屋』だった。おそらく皆同じだろう。にしても殺風景なのが心寂しい。
ふいに、足音。ドタバタと忙しく走る音だ。
「姉御ーっ!」
瑠璃だった。相変わらず元気で明るい。瑠璃を見ていたら自分の悩みなんか吹っ飛びそうだ。
だがそんなことより僕は聞き逃さなかった。瑠璃が言った、『姉御』と言う言葉を。
そう、姉御。これは外れる確率がない想像だが、紀伊さんのことだろう。
「瑠璃、どうしたんですの?」
「はいっ! 管理人に明人君の『家』見学を任されましたっ!」
そんな慌ただしい彼女に紀伊さんは落ち着いて話す。
あぁ、確かに”姉御”だ。僕は少し関心する。
と、ここで疑問点。
確か瑠璃は紀伊さんのことをちゃんと紀伊と呼んでいたはずではなかっただろうか。何か特別な場合のみ名前なのだろうか。
ただ、瑠璃は僕が目覚めたあの時、紀伊さんを確かに紀伊、と呼び捨てで呼んでいた。
女子が人を呼ぶときは、適当なのだろうか。
そんなことを考えている僕なんかお構いなしに二人は話をさっさと進める。
「そう、なら明人。後は瑠璃についていけばいいですわ」
急に名前を呼ばれ、話を聞いてなかった僕はビクッと体を震わるが、幸い二人には気づかれなかったようだ。
「はいっ! ではこの瑠璃が『家』の隅から隅を紹介したいと思いますっ!」
瑠璃がいつもの弾けた口調で僕に言う。
人に関わらず生きてきた僕は、この瞬間に1つ社会の知恵を覚えた。
女子は分からない。