コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【参照100超絶感謝!】 ( No.34 )
- 日時: 2014/01/10 23:37
- 名前: 紗銀 (ID: Mu5Txw/v)
「さてっ! 今からこの瑠璃が『家』案内をしちゃいますっ!」
瑠璃が元気よく手をあげて言う。気づいたら紀伊さんはもういなかった。
「えと、『家』?」
「はいっ! 瑠璃たちがいるこの場所を、皆は『家』と呼んでいるのですっ!」
なるほど、皆が集う場所だから『家』か。あぁ、そうだ。もう僕らには帰る場所なんてなかったんだ。
ただ、何故だろう。何も怖くない。
「元気ないですかっ?」
心配しているのだろう。瑠璃が僕の顔を除きながら少し不安そうに聞く。
ただ、僕は全くそんなつもりはなかったので、すぐに笑って言った。
「いや、なんでもないよ」
「そうですかっ! じゃ、まずは皆さんの部屋を見て回りましょうっ」
心なしか、瑠璃の声がいつもよりも弾んでいる。
僕の部屋の前を通り過ぎ、少し歩いた先。先ほど見慣れた僕の部屋と同じ扉があった。
「ここは瑠璃の部屋ですよっ」
隣は瑠璃だったのか。よく見れば、扉のところに可愛らしく『コード:06瑠璃』と書かれた板が垂れ下がっていた。
それにしても、隣が覇流さんとかじゃなくてよかったと思う。なぜなら、隣が覇流さんだったら何をいつ怒られるか分かったもんじゃない。別に覇流さんが嫌いなわけじゃないが。
「入りましょうっ」
絶対部屋に入れたいオーラをむんむん漂わせる瑠璃。これは入らざるにはいられない。そうでもしないと、次へ行けそうにないからだ。
結果は予想通りだった。緑だ、全てが。もちろんさっきと同じで、比喩的な表し方だ。しかし、これほどまで緑とは。
絨毯もフワフワの真緑色。壁紙も白の生地に緑色の水玉模様が浮かんでいる。置いてある家具も緑色系だ。なんだろう、どうしてそこまで緑色にこだわるか知りたいぐらいだ。
「どうっ? どうっ?」
瑠璃がキラキラした目で問い詰めてくる。いや、問い詰めてくるのは目のほうか。
「う、うん。瑠璃っぽくていいと思うよ」
少し苦しかっただろうか。心配になってくる。
「……」
しばらく瑠璃は無反応だった。
「あの……」
僕、傷つけてしまったのかな、と僕の心配度がMAXになりつつあるそのとき。
「ですよねっ! よかったです、明人君に気に入られてっ!」
心配して損した。まぁ、損はしていないと思うが。なんだろう、とにかくこれでよかったんだと思う。