コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【参照100超絶感謝!】 ( No.40 )
- 日時: 2014/01/11 23:30
- 名前: 紗銀 (ID: Mu5Txw/v)
「ここが月夜さんの部屋ですっ」
だいたい僕の部屋から瑠璃の部屋まで歩いた距離と同じぐらいの距離。予想はついていたが、同じ形式の扉がある。そしてその扉には『コード:05 月夜』の文字。瑠璃とは違って質素。マイネームで書いてあるだけ。
「さ、次行きますよっ」
気づいたら瑠璃はもう月夜の部屋を通り過ぎていた。
あんなに案内することを喜んでいたのに、彼の部屋の前では態度が全然違う。ふと一瞬疑問に思ったが、もしかしてと思い僕は瑠璃に直球に聞いた。
「ねぇ瑠璃。もしかして、月夜さんのこと嫌いなの?」
思ったことを言う。
それは今まで自分がどうしてもできなかったことだ。しかし今は出来てしまう。2・3時間前、皆が教えてくれたようにしているからだ。
「んー、嫌いではないですよっ。でも、何か合わないんですっ!」
瑠璃は少し悩むようなポーズをとりながら言うが、そんなことを笑顔で言われても困る。まぁ何が合わないのかは第3者として丸分かりなのだが。あえて言わないでおいたほうがいいのだろう。それが優しさだ。
「月夜さん、今何しているんだろう」
何気なく呟いた言葉だった。それが裏目に出たのかもしれない。
そもそも今気づいてたことじゃないか。
瑠璃の前で月夜さんのことは禁句だと——。
「読書かなにかでしょうっ。いいから行きますよっ」
空気が冷えた。それは多分、いつも元気な瑠璃が急に声色を下げたからだろう。
「……ごめん」
それは反射的で。つい癖で謝ってしまう。それを見た瑠璃は、急にパッと明るくなり、誤魔化しなのかいつもより早口で喋る。
「大丈夫ですよっ! 明人君のせいじゃありませんしっ! 本当に波長みたいなものが合わないだけなんですっ」
無理してるのが見える。僕はこんな性格だから何気なく分かってしまうのだ。
「さ、気分転換っ! 次の部屋に行きましょうっ! 次は越後君の部屋ですよっ!」
瑠璃はそう言い捨てて僕に背を向けた。
これ以上月夜に関わりたくがないために。