コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【参照100超絶感謝!】 ( No.44 )
- 日時: 2014/01/12 04:14
- 名前: 紗銀 (ID: Mu5Txw/v)
長い長い廊下の中、僕たちはずっと無言で次の部屋まで移動した。瑠璃の様子が変なのは誰がどう見ても一目瞭然。悪いことをしてしまったような気がしてやまない。
「越後さんの部屋ですっ!」
子供らしい字で『コード:04 越後』と大きくかかれているプレートが垂れ下がっている部屋の前で僕らは止まる。
自分の部屋の紹介とはかけ離れたテンションでの紹介。僕は声が出なかった。というか出せなかった。
「越後さんは……、そうですね、楽しい人で好きですよっ!」
微妙にテンションが上がる。単純な子だった。違和感が未だに漂っているのは変わらないが。
「中入りますかっ?」
少し遠慮気味に瑠璃は言う。
「あ、うん、僕はいいけど。越後さんはいいのかい?」
「はいっ! 越後さんは気前が良くて、突然訪問でも快く受け入れてくれるんですよっ!」
テンションが戻ったのだろうか。先ほどとは変わらない明るい声や笑顔で言ってくる。瑠璃はとても素直な子だ。
——コンコン
瑠璃が軽快に越後さんの部屋の扉をノックする。彼女の周りにはあたかも音符でも浮かんでいるようだ。少しだけ僕の顔も綻ぶ。
「誰ー? もしかして瑠璃ちゃん?」
扉の向こうから元気な声がする。
さすが鋭い……と一瞬思ったが、よくよく考えてみれば僕と瑠璃はこの部屋の前で喋っていたのだ。普通に話し声など中から聞こえていとのだろう。そして僕がこんな軽快に扉を叩く筈がない。だから叩いたのは瑠璃。恐らくこんな感じで彼は扉を叩いた人物を当てたのだろう。
「今開けるから」
扉が開く。出てきたのは少し上機嫌な越後。
「あれ、お前もいたんだな。そか、『家』案内か」
「よく知ってますね」
扉を開けるなり、こっちを見て越後さんは言う。
「もちろん越後さんも『家』案内されたんですよね。誰にされたんですか?」
僕なりに話せた自信はあったのだが、彼はその自信を砕き、話を変えた。
「もー、俺ら友達だぜ? 普通に越後って呼んでくれよな、明人!」
「はぁ……」
タメ宣言をされた。と言っても僕と越後さんは同い年だが。
ただ、僕はそんなことより友達と言ってくれたことのほうがが嬉しかった。危うく聞き逃すことだったが、彼は僕を友達と呼んでくれた。
「そうだな、俺らが入ったときは当時コード:06の人がやってくれたな。優しい姉さんで助かったぞ、あん時は」
と、ここで越後は話を戻す。さすがKYだ。
そんなことはどうでもいいとして、少し疑問な部分があったから僕は聞く。瑠璃は優しいが、どう見ても姉さんじゃなく、妹だ。
「え、コード:06は瑠璃じゃ……」
「ちがうんですよ、明人さんっ! モノクロ:コードは管理人さんから聞いていると思いますが、怪異を倒す人のことですっ。つまり命がけ、もちろんこの依頼で死ぬことなんて多々あるんですよっ。そして死んでしまって開いたコードのところには新しいコードが入る仕組みなんですっ!」
そんなことを笑顔で言われても困るな。簡単に死ぬとか言ってはいけないよ。
僕は小さくため息をついた。
「じゃあ越後が入った当初にいたコード:06の人がお世話係りだったんだね」
「そういうことだ」
白い歯を見せて越後はニッと笑った。