コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ▼ ( No.22 )
- 日時: 2014/02/03 22:12
- 名前: 御子柴 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)
夕日が映える放課後。生徒達は部活に励んでいて校舎内は静か。私はある人に会いに、音楽準備室へ向かった。
先生は大きなピアノの前に立っていた。まだ私に気付いていないらしい。私は「こんにちは」と声を掛ける。するとその声が聞こえたのか、私の方へ振り返った。
「こんにちは、結衣さん。今飲み物を出しますね。コーヒーと紅茶、どちらが良いですか?」
「あっ、じゃあ……紅茶をお願いします」
そう言うと、先生は「ちょっと待ってて下さいね」と奥へ行ってしまった。イスに座って良いのか分からず暫く立っていると、奥から「座ってて良いですよ」と先生の声が聞こえた。よく分かったなぁ、と笑いながら座った。
笑っていると、奥から先生が飲み物とクッキーを持ってやって来た。二つのカップからは温かそうに湯気が立っている。
「結衣さんどうしたんですか? そんなに笑って」
「ふふっ。私が立ちっぱなしな事を先生よく分かったなぁって」
「あぁ〜、結衣さんやっぱり座っていなかったんですね」
先生は飲み物とクッキーをテーブルの上に置き、笑いながら座った。私も笑いながら「はい」と頷いた。
「それにしても、どうして分かったんですか?」
「勿論分かりますよ。結衣さん、遠慮するんですから」
「遠慮……してますか?」
しているつもりはないんだけどなぁ。
「してますよ。結衣さん初めてココに来た時から遠慮してます。自分の家だと思って思いっきり寛いで下さいよ。私もそんなに遠慮されると、困ってしまいます」
「あ……ありがとうございます」
一人暮らしの私にとってその言葉は、とても嬉しい言葉。その言葉が胸にジーンと沁みる。
「それか、本当にここを自分の家にします?」
「それは……どういう意味……ですか?」
先生の言った言葉が理解できず、ポカンとする私。そんな私とは反対に、先生は真剣な顔付きになった。
「結衣さん、いつ言おうか迷っていたんですが……今言います」
「は、はい……」
先生はスゥと息を吸い、何かを決心した様に言葉を口にした。
「—— 好きです、結衣さん」
一瞬、何を言われたのか解らなかった。その言葉の意味を理解した時、体中の温度が一気に上昇するのが分かった。
静まり返る教室。私の鼓動は早くなるばかり。耐え切れなくなり、私は口を開いた。
「わ、私も好きですっ。先生の事が好きで——」
その言葉を言い終わる前に、先生に抱き締められた。優しく。けど、しっかりと私を抱き締める。
「陽汰」
「へっ?」
「名前で……陽汰って呼んで下さい」
先生はわざと私の耳元で囁いた。
「よっ陽汰……さん……」
「はい」
赤くなった私に陽汰さんは優しくキスをした。
■ 顔が赤いのは
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夕日の所為。それとも——。
結衣は生徒でも同業者でも。
(2014.2.3 修正)
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