コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ▼ ( No.45 )
- 日時: 2014/02/03 23:12
- 名前: 御子柴 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)
「うわぁ……」
思わず声が漏れた。
授業後。
今まで委員会の仕事をしていたので、遅くなってしまった。友達は皆先に帰ったらしい。
私も帰ろうと下駄箱へ行くと、外はバケツをひっくり返したかの様な土砂降り。グラウンドには大きな水溜りが幾つか出来ている。朝登校する時は快晴だったので、傘を持ってきていなかった。スクバを開けると、いつも入っている筈の折りたたみ傘が入っていない。そういえば今朝、雨は絶対降らないだろうと、荷物になるから折りたたみ傘を出したんだっけ。しまった。朝の私のアホ。そして天気のばかやろー。
私はローファーを持ち、雨の当たらない中廊下を通り、体育館下の職員達が利用している駐車場で雨宿りをする事にした。もう直ぐ校舎は施錠されてしまう為、教室で待っている事は出来ない。
暫く待っていた。待っていれば雨も弱まるだろうと。しかし雨は一向に止む気配が無い。寧ろ強まってきている。周りを見ると生徒や職員達が続々と帰っていく。中には傘を持っていない人もずぶ濡れになりながら帰っていく。……勇者だな。私にはそんな勇気は無いので、少しでも良いから弱まるまで待っていた。
そしてほぼ居なくなった。最終手段。私は親に連絡した。……二人とも仕事がまだ終わっていなくて無理らしい。
意を決して傘無しで濡れて帰ろうと、ダッシュで門を出ようとした瞬間、ピカッと稲光が暗闇を照らした。結構近い。急いでまたダッシュでさっき居た場所へ戻った。ここから門まではそんなに距離は無い筈なのに、もうすっかりずぶ濡れになってしまった。制服が腕や太ももにへばり付いて気持ちが悪い。あと、少し肌寒い。
「あれ? 美春じゃん。何やってんだ? びしょ濡れで」
心の中で嘆いていると後ろから声を掛けられた。隆也だ。一応私の彼氏。
「さっき傘無しで帰ろうとしたけど雷鳴って。だから雨小降りになるまで待ってんの。隆也も?」
「おう。さっきの雷か? あれ結構近かったな」
「うん。ちょっとビックリした」
「お前でも雷にビビるとかオレがビックリだ」
「うん? どーいう意味それ」
小馬鹿にした様に笑う隆也にグーパンチを食らわしてやった。私でも雷にはビビります。そんな他愛も無いやり取りをしていたが、まだ全然小降りになる気配が無い為、だんだん二人とも静かになっていった。
数分間の沈黙を破るかの様に隆也が言葉を発した。
「何かさ、ムラムラする」
「……はぁ?」
「いや、ほら、制服雨で濡れてるし、二人きりだし、辺り暗いし」
「バッカじゃないの、ここ学校じゃん」
「関係ねえ! キスだけでも」
「……しょうがない」
行き成り何を言い出したのかと驚いた。しかも真顔で。そして必死で迫ってくるので渋々、嫌々OKした。
隆也は左手を私の左頬に添えて少し上を向かせると、唇にキスをした。軽く一回だけかと思っていたら、角度を変えて深く何度もしてきた。苦しくなり隆也の胸を叩くと、隆也は満足そうな笑みを浮かべている。
「っは……っ、ガチキスしてんじゃないよ」
「悪ぃ、悪ぃ。んじゃ、帰るか」
「えっ、傘無いんじゃ……」
「じゃーん、あるんだな」
隆也はそう言い、柱の裏に立て掛けていた傘を取り出した。
「最初に言ってよ」
「キスしたかったから」
「ばーか」
不意打ちの言葉にときめいたのは内緒にしておこう。
そして私は俗に言う“相合傘”で隆也と家に帰っていった。まだ雨は降り続いている。
■ したいが為に嘘を吐く
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今日の出来事です。
朝は晴れていたのに、帰宅時になったら雨が降るっていうね。
丁度折り畳み傘を家に置いてきたところだったので、もうずぶ濡れですよ。
常に準備万端な状態でなきゃならんのですね。
因みにこの小説の仮のタイトルが『濡れた制服の効果とは』でした。
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