コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ▼ ( No.81 )
- 日時: 2014/03/09 21:17
- 名前: 御子柴 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)
「あ」
「あ」
夕暮れ時の帰り道、角を曲がると近所に住んでいるお兄ちゃん、隼人にぃとばったり会った。親同士が仲が良く、私達は小さい頃ずっと遊んでいた仲だ。
そんな私は高校生。彼は社会人。お互い忙しくなり、最近滅多に会う事が難しくなっていた。今日会うのも私が小学生だった頃振りだ。
「よ、今帰りか?」
「う、うん……」
実は、彼は私の初恋の相手。今でも好きだったりする。久し振りに会ったからか、緊張して声が上擦ってしまった。ほんのり顔が温かくなってきた気もするけど、バレてないよね。
「久し振りだな。元気だったか? 昔は兄妹かってくらい一緒に居たのにな」
「うん」
本当にそうだった。あの頃は四六時中一緒に居た気がする。近所の公園で遊んだり、駄菓子屋でお菓子を買ってもらったり、お互いの家でゲームをしたり。実際、近所のおばさんやおじさん達に「仲の良い兄妹だね」と間違えられた事もある。
「しっかし、小さかった佐奈もこんなに大きくなってなぁ。一丁前に化粧なんかして。スカートなんてスゲー短くして。しゃらくせー」
「うっさい、皆してますうー。それに私もう高校生だし」
褒められているのかないのか判らなかったけど、いや、絶対褒めてなかったけど、キツく返してしまう。素直になれないのが私の悪い所。
「……高校生か……、綺麗になったな…………」
私のキツイ言い方も気にせず、彼は小さな声で呟く。その小さく発せられた言葉は私にはハッキリと届いた。顔、身体、全身が熱い。
「俺の中ではさ、本当の妹みたいだったんだよ。けど……」
真剣なトーンと顔付き。彼はそのまま続ける。
「いつからか俺ら二人共忙しくなって、会えなくなって。そこで分かったんだ。俺にとってのお前が」
彼は立ち止り私の方を向いた。私も同じ様に立ち止り、彼を見る。
「俺にとって佐奈は大切な存在だったんだ。妹してじゃない。異性として、女として」
——最初、何を言われたのか理解出来なかった。ただ、涙だけが頬を伝った。そんな私の泣き姿に驚いたのか、彼は狼狽している。その姿が可笑しくて笑ってしまった。
「たく、泣くか笑うかどっちかにしろよ」
「あははっ。あのね、嬉しいの」
「うん?」
「昔から隼人にぃの事、お兄ちゃんだなんて思ってなかったんだよ? 私ね、隼人にぃの事——」
『好きだよ』その言葉は紡がれる事は無かった。
「待てよ、早まんな。俺まだ言ってねえよ」
彼は私を抱き締め、そして——
「好きだ」
その一言を言い、更に強く抱き締めた。少し苦しかったけど、その苦しさも忘れるくらい嬉しかった。
「私も好き。大好き。昔からずっと隼人にぃの事が大好きだよ」
引っ込まっていた涙もまた流れ始めていた。けれど笑顔で。彼は涙が流れている目の上、私の瞼に軽くキスをした。
▼ △
「な、んで口にもキスするの……っ!」
「わ、悪い……ちょっと抑えられなくて、な」
「『な』じゃないよ! 友達見てたらどうしよう」
「ごめんって」
「何でこんな外で……」
「……なら、外じゃなければ良いんだな?」
「えっ」
「家で、な」
若干口角の上がった隼人と、顔を真っ赤にした佐奈の姿が見えた。
■ 気付いた存在
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それはとても大切な存在。
年上幼馴染くんなんて私にはいないので憧れます。
初恋は……幼稚園の頃だったなぁ。何十年以上昔の事やら。
長編もどきの件ですが、知りたいという方がいらっしゃればお教えしますので^^
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