コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ▼ ( No.87 )
- 日時: 2014/03/15 22:13
- 名前: 御子柴 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)
あ、筆箱が無い。
ローファーに履き替えグラウンドの横を歩いている途中、ふとスクバの中身を確認すると筆箱が入っていなかった。教室に忘れてきたのだろうか。戻るのも面倒だったけど、家で受験勉強をしなくちゃいけないから取りに戻る事に。私は土間へ戻り、スリッパに履き替え306教室へ向かった。
良かった、施錠されていない。私はドアを開け入る。電気は消されていて夕陽で教室内はオレンジ色に染まっている。教室には誰もいない。外から部活をしている生徒の声が聞こえるだけ。すると、ふわりとカーテンが靡(なび)いた。窓が開いている。最後の人が閉じ忘れたのだろうか。
「あった」
窓際の前から三番目の席、私の席の机の上に筆箱が置いてあった。私のだ。その筆箱をスクバに仕舞う。
静かな教室。私は何も考えず無意識的に自分の席に座った。開いている窓から涼しい風が入り込み、夕陽の暖かさとで心地が良い。何だか瞼が温かくなってくる気がした。スゥと落ちる様に私は机に突っ伏した。
つんつん
頬に何やら感触が。うん……、と重い瞼をゆっくりと開ける。そこには人影が。その人物は——
「酒井君っ!?」
私はガバッと勢い良く頭を上げる。そこに居たのは後輩の二年生の酒井君だった。酒井君も野球部の忘れ物を取りに教室へ向かう途中、この306教室の前を通り過ぎようとしたところ、中で私が気持ち良さそうに寝ているのを見掛けて中に入った、との事らしい。
何より後輩に寝顔を見られた事が恥ずかしい。赤くなる顔を両手で隠す。夕陽でバレてないよね……?
「先輩、顔赤いですけど」
「夕陽だよ」
もうばっちりバレていた。私ははぐらかすけど、酒井君は「そうですか?」と笑っている。
「それで藤崎先輩は何してたんですか?」
「私は筆箱忘れちゃって。それで取りに来て……寝ました」
「フッ、何それっ」
説明すると酒井君は大爆笑。ますます私の顔が赤くなる。「や、すみません」と酒井君は謝るが、笑っていて全く悪びれた様子がない。
「ほら、部活遅れるよ。早く忘れ物取りに行って部活戻ったら?」
「先輩それ照れ隠しでしょ。大丈夫ですよ。今筋トレ中だし」
そう言って酒井君は私の前の席に座った。サボりという訳ですか。三年生が引退して二年か一年しかいなくなった、といってもサボっちゃダメでしょう。野球部の元キャプテンの恩田君に話すよ、と言うと酒井君は「いやそれは勘弁して下さい」と焦る様に両手を合わせる。その様子が面白くて私は笑った。
「ねえ、先輩」
ふいに酒井君がそう言い掛ける。私は「なあに?」と酒井君の顔を見る。
「先輩もうすぐ卒業ですね……」
「うん……そうだね」
「卒業式の日、式が終わったら校舎裏の一本桜の下で待ってて下さい」
真剣な酒井君の眼差しに「……うん」と答えた。それを聞いた酒井君はそれじゃあ、と笑顔で教室を出て行った。私も酒井君が出て行った後、開いている窓を閉め教室を出た。
▽ ▲
皆が泣いたり抱き締め合ったりしている中、私は校舎裏へと向かう。そこには一本の桜の木、と……一人の男子生徒が待っていた。
「酒井君」
あの日約束した事。『この一本桜の下で待ってて』。酒井君が先に来てるじゃないの。私の声に気付いた酒井君は「先輩」と私の方を向く。私は酒井君の元へと行く。
「先輩、卒業おめでとうございます。それと合格おめでとうございます」
「ありがとう」
酒井君の傍にやってくると、酒井君はお祝いの言葉を口にする。つい先日、私は志望の大学に受かった。その事は多分恩田君に聞いたのだろう。私は酒井君にお礼の言葉を言う。何だか目頭が熱いなあ。気付けば目から涙が零(こぼ)れていた。
「ねえ先輩」
「なあに?」
「俺、先輩がいる大学行くから。だから——」
「合格したら俺と付き合って下さい」
■ それまで待ってて
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「それまで先輩、付き合わないで」
かなり遅れましたが、卒業ネタを。
書いた私がこう言うのもアレなんですが……一年もすりゃぁ彼氏作るだろ。…… 笑
夢無い事を言って申し訳無いです。いやでも一年早いけど長いry ……黙ります。
それにしても、最近タイトルと登場人物の名前のネタ不足で仕方が無い。特に名前。
…………何方か名前下さい。 笑
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