コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界も涙も帰宅部も<参照数2000突破感謝!!!> ( No.166 )
- 日時: 2014/11/12 15:32
- 名前: 栗おこわ (ID: FLkf3417)
第94話 しっかりとね!
時はあっという間に流れ、文化祭前日—
「どどどどどっどどどうすればいいのよおおおおお!!!」
音縁さんが頭を抱えて叫ぶ、僅か3分前…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教室にて翌日の本番に備え、最終の打ち合わせをしていた俺達の元に、蓮杖先生がやって来たのが始まりだった。
「あ、蓮杖先生。なに?」
音縁さんがつい、今までのノリで話してしまい「あちゃあ」と手で口を塞ぐ。
「ああ、音縁さん。残念な話があるんだ」
先生はそれは気にしていないようで、本題に入った。
「残念な話…?わ、私なにかしましたっけ…??」
恐る恐る顔を引きつらせながら尋ねる音縁さん。
それを見て先生は微笑した。
「いや、檜山くんが曾お爺さんの葬式で文化祭に出られなくなってしまったそうなんだ」
「…え?」
「檜山くん」とは、陸上部…いや、そうではなく今重要なのは……
「檜山って、シンデレラのお付き役だよな?」
そうそう。お付き役ってことだ。
「じゃ、じゃあ檜山くんの代わりを誰かにやってもらわなきゃってコト?」
「あ…」「え…」「無理じゃん?」「どうすんの音縁」「おーいおい」
「ど、どうするって…代わりの男子を……?いや、その役無しに…」
「むりむり。結構、ストーリーに関わってるもん」
「はわわわわわわわ…」
り、リアルに「はわわわ」言う人初めて見た…
「どどどどどっどどどうすればいいのよおおおおお!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…というなりゆきでした。
「え、まって、ほんとにどうしよう」
音縁さんが切迫した表情で皆に助けを求めるように見渡した。
「えっと、裏方の男の子にやってもらえばいいんじゃないかな」
一番前の席の女の子が、そんな視線に応え、案を出した。
そんな助言を聞いた音縁さんの顔は周りに花が見えるんじゃないかってくらい歓喜の表情になった。
「おお!!それがいいよ、いいよ!ありがと阿部ちゃん!」
一人でパチパチと拍手をし、そしてすぐに全員に向き合った。
「ということで、裏方男子立ってください」
ガタガタと、自信なさそうに立ち上がる裏方男子。なんか「裏方男子」ってやだ…
「東野さんもじゃないの?」
「え、あ、そうだった。ありがとうございます、中谷さん」
…初めて話した気がする、隣の席の中谷さん。
俺の礼を聞いて、にこりとする。優しそうな人だ。
「…誰かやってくれる人。台本のセリフ、短くしてもいいから。お願い!!」
「俺やりますよ」
「え?あ、あっさり…?」
声の主は、俺。そう、俺。うん、俺なの。
「ほほほんとにいいの???」
「はい。いいです」
どーせ話し合いがうだうだ長引いて、「これ以上続くのやだし俺やるよ」ってなるんだから先に、な。
「は、は、拍手うううううう!!」
「亜美ちゃん泣いてる?」
つづく