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- Re: 世界も涙も帰宅部も<演劇直前> ( No.173 )
- 日時: 2015/01/25 12:39
- 名前: 栗おこわ (ID: aGK9cZ.N)
アクシデントさん
うおおおおおありがとうございます!!
おもしろいなんてうれしいっす。
アクシデントさんもがんばってくださいね!
↓本編
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第99話 幕上げ
それから、1時間程後。
台本の最終読み合わせ、流れの確認、衣装の着付けなどを一通り終え、皆が緊張を必死で抑えこむ…そんないつもとは違う空気が流れていた。
そんな空気の中、先生が腕時計を見て、
「皆、そろそろだぞ。1組の発表が終わったら、すぐに舞台にでるからな」
と言った。
く、くそ…緊張を高まらせやがって
そんな俺の殺気にも似た視線に気づいたのかたまたまタイミングが合ったのか、先生は音縁さんに手招きをした。
「音縁、最後になんか言ってやってくれないか?皆緊張してるみたいだから」
いや、あなたのせいでもあるんですけどね!!
「え、ええ!?」
「ほら、音縁。なんでもいいから一言」
戸惑う音縁さんを先生が急かす。
音縁さんは「う、ううん…」と何か言いたそうに口を動かしながらも、赤いドレスを引きずりながら前に出る。
「ええ…っと……」
考えているのだろう、音縁さんが無言の間、教室は無音になった。
しばあらくして、音縁さんが口を開いた。
「あの、が、が…」
「がんばりましょう!!失敗したってなんとかなります!!!」
「…え?」
「失敗すんの前提かよ!」
ドッと無音だった教室が湧いた。
音縁さん本人は笑わそうなんて思っていなかったらしく、顔を赤くし、恥ずかしそうに笑った。
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<2年1組さん、ありがとうございました。続いては、2年3組さんの「シンデレラ〜3組NEWver〜」です!説明、音縁さんお願いします!>
文化祭実行委員長の人が音縁さんにマイクを手渡す。
それを受け取り、口に近づけた。
<わ、私たち3組は、少し風変わりなシンデレラを皆さんに披露したいと思ってます。3組らしさや個々の性格が役に良く出ると思っています。ええっと…どうぞ、最後まで観てください>
どこから見ても容姿カンペキな音縁さん(しかもドレス姿)の説明に、観客の男性陣はぽけーっとして、どこか上の空だ。
音縁さんが礼をし、委員長にマイクを返した後幕裏に入ると、観客席が暗くなる。
それは、幕裏にいる俺らにも分かり、最緊張の紐を解いた。
最初のシーンに登場する生徒達は肩を上下させるほどに大きく深呼吸をしている。
「…あ、アリーメさん。平気?」
「!……?」
「いや、出番多いし、一番緊張してるかなって思って」
「あ、いや…大丈夫デスヨ」
あ、余計緊張させたかな…
「東野サンも、私のお付き…がんばってくださいネ?」
「え…」
心臓がドクドクいう音が聞こえる。苦しい。
優しい笑顔につつまれながら、ゆっくり、ゆっくりと舞台の幕は上がった—
つづく