コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 世界も涙も帰宅部も ( No.175 )
日時: 2014/12/05 23:18
名前: 栗おこわ (ID: JLwNROZ9)

第101話 自意識過剰?

…さて、読者の鏡のようなお方はもう分かっているだろうが、次は、そう、次は…

何を隠そう、美濃さんの出番、しかもメイン舞台なのである。
前々から話していたように、美濃さんはそれこそ本人は気づいていないが学年のアイドルと言っても過言ではないほどのかわいさと、強大なファン(と、支持率)を持っている。
つまり、この第2シーンに観客(男子生徒)がとてつもなく押し寄せると言うコトであり…
ひしめきあう観客の前で美濃さんが、いつもの演技ができるのかと思うと不安になる。

「い、行ってくるね!」
「がんばれ紺屋さん」「応援してるよ!」「リラックス!」
女の子達が囲う中心で、美濃さんは「頑張る!」とだけ言い、幕の方へ歩いて行った。

「あ、悠馬くん…」
「!」
不意に名前を呼ばれ、無意識ながらも振り返る。
「何か、緊張を和らげる方法とかおまじないとかない?き、緊張しちゃって…」
彼女の手に視線をやると、小刻みに震えているではないか。冷や汗と言うのか分からない汗も出ている。
「お、おまじない?」
たぶん、俺が一番幕の出入り口に近いから話しかけてきてくれたんだと思うけど、きっと俺は必要とされている…のだろう。
だけど、おまじないなんて手に「人」という字を書いて飲み込む、位しか…

「紺屋さん、そういう時は楽しいこととか考えてればいいんだぜ」
「!…そうなの?」
驚いて声のしたほうを見ると、「美濃さんに好意を持っているそこそこ顔のいけてる」男子だった。

「ほら、知らない?いいことを思い出すと脳が喜ぶって」
身振り手振りをつけておおげさに表現する男子の名は…確か、田崎くん。
「そうなんだ〜。いいことかあ…ん〜……」
「み、美濃さん。急がないと出番が…」
「あああ、そう、そうだよね」
すると「あ、そうだ!」と人指し指をピンっと立てた。

「お祭り♪」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…かわいそうな娘さん、どうなされたのですか?よければ、私に話してください」
「あなたは一体…?」
「私は、そうですね…妖精、でしょうか?」
にっこりと花のように笑う妖精の姿がそこにあった。

                  つづく