コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 頑張ろう ( No.176 )
- 日時: 2014/12/11 18:29
- 名前: 栗おこわ (ID: 3xFJQilA)
第102話 明るい光に
「じゃあ、いきますよ!」
あれから、妖精はシンデレラになにやら不思議な事を言い、シンデレラは妖精の言った通りに指示されたカボチャと猫を用意した。
シンデレラの不思議そうな顔を横目に見て、ふふんと笑ってから妖精は指揮棒のような棒で、呪文を唱えた。
「ちちんぷいぷい〜っほい!!」
すると、ステージの照明がパッと消えた。
二人の美少女に注目していた観客達は、ステージが暗転した事に「わ」と軽く驚いた声をあげた。
それでもすぐに、観客達はこちらの事情を察したのかすぐに静かになった。
まあ、つまりは裏で魔法をかけているのだ。……具体的に言っても同じだぞ?
「馬、早く!」「裏方く〜ん!!」「馬車、馬車!!」
裏ではバタバタと忙しなくクラスのほぼ全員がセットをしている。もちろん、俺も。あ、王子も。
「シンデレラの衣装も!上、脱いで!」「アリーメさん、早く早く!!」
シンデレラのドレスは着替える時間がないので、貧乏な衣装の下に着ている。
アリーメさんは、前日までしっかり練習していた成果か、テキパキと脱いで、第2の主役とも言えるガラスの靴を履いた。
ちなみに「モノホンのガラスの靴買った」らしい。つまり本物のガラスだ。重くないのか…?
「はい、そろそろ時間ですよ〜」
照明の係の橘さんがいつもの口調で伝えると、皆裏幕に移動した。
「ぎりぎり終わったな」
あさが息を切らしながら言う。
「そうだけど、お前これから大変なんだからそんなに疲れたら」
最後のほ〜に出る俺とは違って。
「う〜ん。そうだよなあ」
はははと笑う。最後に「まあ、でも、楽しいからいいじゃん?」と付け足して。
「照明つけます!」
その声とほぼ同時に、ステージに光が戻った。
観客は、暗転する前と今のステージがあまりにも違かったので「おおっ」と、これまた驚いた。
「…まあ!!」
シンデレラが魔法で変身したカボチャと猫に驚き、そして自分の服の変化にさらに驚いた。
「あ、あの…?」
「これで、舞踏会に行けるでしょう?」
「!」
なんと言えばいいのか分からず、もごもごしているシンデレラに向かい、妖精は
「行ってらっしゃい!」
と手を振り、半ば強引にシンデレラを馬車に乗せ、馬に「行け!」と足を軽く叩いた。
パカラッパカラという独特の音の中、シンデレラは遠くなっていく妖精を嬉しそうに見ていた。
が、
「あ!12時になったら魔法が切れるから!!」
「え、ええっ?」
姿が見えなくなる寸前に放たれた彼女の言葉に、唖然とするシンデレラであった。
つづく