コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ちはやふる新刊発売日間違ってた ( No.178 )
日時: 2015/01/12 15:37
名前: 栗おこわ (ID: aGK9cZ.N)

第104話 死角

 
明るい音。

よく耳をすませてみると、広場の中心にある時計台からの音のようだ。


「…時計台?」

くるりと首だけを時計台のあるほうに向ける。


「あああああああああ!!十二ジーーーーーー!!!!」

「へっ?」

ごめんなさい王子様。ごめんなさい王子様!!
あと、台詞、チョット変になっちゃったコトも。

「ど、どこへ…」
「だ、大事な用事があるんです!ごめんなさい!!」
王子様の声が遠くなっていく。

…追いかけてきては、くれない。か。

いや、そんなことは関係ない。急がなくては。もう、魔法は切れ掛かっているのだから…


大慌てで階段を下る。慣れないドレスのせいか、うまくくだれな…

「待ってっ」

「えっ…」


「王子…様…?」




「もう遅いし…女の子一人じゃ危ない…よ?」

「…!」

口が渇いていく。緊張しているんだろうか

「お、俺がお付き、つけてあげるから」

「…おつき?」
「うん、おつき」
聞きなれない…というか、普段耳にしない言葉に、つい聞き返してしまった。

「一人…いや、三人必要かな」
うーん、と目をきょときょとさせながら考える王子様。

「いっ、いえ、お一人で大丈夫です!十分です!!」
ぶんぶんと頭と両手を振る。
王子様は少し笑って
「そ、そう?じゃあ、………」


「?」


「…(台詞忘れた)」

「!(えっ)」

「……(アドリブっ!)」


「ゆ、ユウマに行ってもらおう、かな?」

「あ、ありがとうございます」


※ホントの台詞は「俺の一番頼れる奴に行ってもらうとしよう」
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…いよいよ、俺の出番ダゾッ☆


…じゃなくて。足、足がっくがくなんですケドーーーー!!

す、ステージ明るい。観客多い。お腹痛い。足がくがく。死に…たくはない!!






「じゃあ、ユウマ!頼んだぞ」

「ふぁいっ!!」



「「「!!?」」」


裏幕
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どうしよう。


「…の…ち」


どうしよう。


「…ちゃん」


どうし




「美濃ちゃ〜ん!!」


「!!」








「…聞いてなかった?」

「ご、ごめん。考え事、してた…」
少し俯くと、話しかけてくれた子は一瞬困った顔をした。が、すぐにニコッと笑い直した。

「そっか。あのねー、今、アリーメさんがぁ…」



「…アリーメちゃん」

ステージで、精一杯主役を演じている女の子。


「ぶっほwwwな、何、東野さん今、「ふぁい」って言ったよね!!?」
「言ってた、言ってたww」



「…東野さん」

ステージで、アリーメちゃんとこれから、……これから…


だ、だめだめ、考えたら。

これは、劇なんだし。劇。

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馬車の中、お付きさんと二人。

…魔法が解けていく中で。


「狭いですね」
「そ、そうですねっ」

あっ!首飾りが…!

急いで首元を手で隠す。

「…? どうしたの、首」
そ、そりゃあ気づくよね。
「痛いの?」
「あっ、そんな」
あ、近い…気づかれちゃ…う

             つづく