コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 緋色のムジュン恋愛帳 ( No.18 )
日時: 2014/01/19 11:38
名前: 杏月 (ID: EZ3wiCAd)

ガラッと、音を立てて図書館の扉を開ける。
すると、一人だけ・・ポツンと席に座っていた。

(あれ? あの子って———)

後ろ姿だが、分かる。さっき、見たのと同じ。
優しい雰囲気が漂っている。

「あ、あの——・・」

思わず話しかけてしまった私。少女は「え?」と呟き、声のした方を
向く。

目が合った———。

蒼く、大きい瞳に、白い肌・・・。小さい鼻に、柔らかそうな唇。
美人だ。
ボー、と彼女を見つめていると、「あの〜」と声をかけられた。

「貴方・・確か、同じクラスの?」
「あっ!! え、あっと・・そ、そうでふ!」

慌ててしまった噛んでしまった・・・。恥ずかしい。しかし、彼女は
フフッ、と優しいく微笑んでくれた。

「やっぱり。知っていると思いますけど、私、卯月美弥乃です。
 こう見えても、漫画家なんです」
「あ・・はい。宜しく——」

私は、ある言葉に引っかかった。
『漫画家』———?

「え、漫画家・・・なんです、か?」
「はい。まだ新米ですけど」

美弥乃さんは、苦笑して私に原稿を見せてくれた。
もしかして、さっきまでこれを描いてた———?

「私の夢だったんです、漫画家。
 それが、叶って・・・すごく幸せなんです」

確かに、美弥乃さんは自分の原稿を見て幸せそうな笑顔をした。
それにしても、その漫画そこかで見たことある。

「あの・・・その漫画のタイトルって・・」
「これ、ですか? これは『蒼色の空』ですよ」

『蒼色の空』・・・。やはりそうだ。今、少女漫画で注目を浴びて
いる一つ——。
実は、私もイラスト関連の仕事につきたいと思っている。漫画だって
その一つだ。だから、知らないはずがない。

(まさか、こんなすぐ近くに憧れの人がいたなんて———)