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Re: 緋色のムジュン恋愛帳【美弥乃ボイス公開!】 ( No.61 )
日時: 2014/05/05 17:32
名前: 杏月 (ID: ieojggCq)


「いやー、まさか本当に忘れてるとはね」

 美弥乃ちゃんのマンションの入口にて。
 沙空君も同じマンションらしく、態々ここまで見送りにきてくれた。

「どうでもいいと思うけど、楓も同じマンションなんだよ」

 正直言って、楓君の事はどうでもよかった。けど沙空君が教えてくれたので「そうなんだ!」と、明るく対応する。
 そんな私を見てフッと笑った。・・・やっぱりバレたかな。

「凛羽ちゃんって優しいね」
「え、そんな事ないですよ!?」

 今の自分からは想像できないとよく言われていたが、小学生時代は男子の喧嘩相手になったり(主に女子を守る為に)、ドッジボールは積極的に投げていたり(主に男子に本気で当てる)・・・。
 自分で言うのもあれだが、今は男子と喧嘩なんかしないし、ドッジ・・・いや、ドッジ自体しないか。

「友達の為に秘密を守ったり、忘れ物を届けたり・・・」
「そ、それは普通の事ですよ・・・!」

 人見知りだが、一回友達になった子とはその関係を保っていたいからね。
 私は中学の頃の出来事を思い出す。その時、少し友達関係を壊してしまったのだ。『あんな事』は、もう起こしたくないから・・・。

「どうしたの?」
「え、何でもないよ!」

 暗い顔でもしてたかな。沙空君は心配そうに覗く。
 私は全力で手を横に振った。

「それに・・・さっきみたいに、話を合わせてくれるしね」

 さっき・・。もしかして、楓君がこのマンションに住んでいるっていう話の事かな。
 やっぱりバレてた。・・・けど引かないんだ。友達付き合いの悪い奴とか、思ったりしてないのかな。

「そんな事思わないよ」
「え!?」

 心を読まれていた。それか、顔に思いっきり出ていたのだろうか。
 沙空君は笑顔で、答えてくれた。・・・何でそんなに優しいの?

「凛羽ちゃんは優しいし、そんなところが好きだからね」
「有難う———・・・って、え?」

 後半、何て言った?
 聞き間違えかもしれない。だって、昨日会ったばかりだし私なんかを・・。

「・・・・」
「凛羽ちゃんはどう?」