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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.51 )
日時: 2014/02/03 20:34
名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)

*「………んぅ…」


撫子はすうっと意識が浮かび上がっていくのを感じた。

たしか…先ほどまで、闇と戦っていて…それで四条君…


「…っは!!」


がばっと勢いよく起き上がった。

そのとたん、はらりと自分の上半身から、白いカッターシャツが落ちた。

足元は黒い学生服で覆われている。

両方とも、自分のではない。

横になっていた撫子のかけぶとん代わりになっていたらしい。

後ろを見れば枕代わりになっていた、撫子の紺のリュックが彼女の頭の形にへこんでいた。

だけど、撫子が今視界に入れたいのは、こんなものじゃない。

今、視界に入れたいのは…


「…四条君」


応える声はない。

焦りと不安がますます募る。

(もしかして、私が四条君の制服だけ掴んだから…)

制服だけ、この世界に来てしまったのだろうか。


「………」


よかったような、よくなかったような。


「…起きたか」


背後からの声に、撫子はびくりと肩を震わせた。

後ろを振り返ると、上に黒いインナーのみを着ている四条君が立っていた。

———やはり、巻き込んでしまったようだ。


「…四条君…」


何を言えばいいのだろう。

撫子たちは、今、不思議なほどに霊力に満ちた薄暗い森の中にいた。

あの闇にのみこまれて、どこか別の場所にとばされてしまったようだ。

時空間移動、というやつだろうか。

だが、彼までもここにいるのはどう考えても撫子の責任だ。

その事実に変わりはない。


「四条君、体は大丈夫…?

 けがとか、してない…?

 しんどくない?」


巻き込んだ張本人が言う言葉じゃない気がしたが、おそるおそる聞いてみた。


「…おまえは?」

「………え…?」

「おまえこそ、けがとかは…?」


一瞬何を言われたのか分からなかった。

まさか撫子のことを心配してくれると思わなかったから、不意をつかれたのだ。


「だ、大丈夫。

 あり、がとう…」


こくこくとうなずくと、四条君はほのかな笑みを浮かべた。