コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.59 )
- 日時: 2014/02/09 23:41
- 名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)
*「それで、今、一番の問題なんだけど…」
撫子は、おそるおそるそれを口にした。
「…今晩…どうやって、寝る?」
「……」
返事はない。
和火は無表情だ。
だが、撫子は彼の口の端が、かすかにひきつっているのを見てしまった。
「ごめん…。
野宿とか…いやだよね…」
「…いや…別に…」
「あ、じゃあ…私と一緒に寝るのがいや…とか…」
「………………………………………………い、や…じゃない…」
「ち、窒息しそうなほど、嫌なの…!?」
とはいえ、それぞれが離れて寝るのは危ない。
森には獣がいる。
固まって寝た方がいい。
どれに、日も暮れてしまったし、安全な場を探すために夜の森を歩き回る方が危険だ。
「今夜は、私が結界を張るから、その中で私と寝てほしいの。
結界の中なら安全だから。
あ、でも、そんなに大きなは結界は張れないから、
できるだけ私とくっついて寝てくれるとうれし—————————和火…?」
「………何?」
「顔、真っ青だけど、大丈夫…?」
「別に…っぜぇ…ぜぇ……へ、平気…」
「か、軽く呼吸困難になっているけど!?」
「なあ…」
不意に和火がこちらをひたと見すえてきた。
「おまえの、霊力とやらは、無限にあるわけ?」
撫子は意外な質問に目を丸くした。
霊的なことについて聞かれるとは思っていなかったのだ。
気味悪く思われて、触れられないのかと思っていた。
「う、ううん。
ない、よ。
無限じゃない。
使いすぎると、体力も精神力も削られるし、完全になくなると人は気絶する」
「………今は?」
「さっき、けっこう使っちゃったから、今、全力疾走しろって言われても…できないかな」
嘘だ。
本当は、立ち上がれないほど霊力と体力を消耗している。
だけど、和火に余計な心配をさせたくなかった。
「…いらない」
「……え…?」
「結界なんて、いらない」
「え…でも…」
「いいから。
…おれはいらない。
おまえだけその結界の中で寝たらいい。
おれはその外で寝る。
そうすれば、より小さな結界を張るだけで済むだろ」
撫子は困り果てた顔で和火を見つめた。
「でも、夜の森は危ないし…。
あ、じゃあ、和火だけ、結界の中で寝たらい——————」
「ヤだ」
撫子はますます困り果ててしまった。
もしかして、彼は撫子の体調を心配して、あまり霊力を使わせないようにしているのだろうか。
一瞬そんな考えが浮かんだが、すぐに打ち消した。
(和火は…結界なんて、得体のしれないものの中で寝たくないだけなんだよね…)
結局その夜は、結界なしで寝ることとなった。