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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.84 )
- 日時: 2014/02/16 17:27
- 名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)
*二人は南に向かって黙々と歩いていた。
…いや、黙々とではない。
「和火!
ねえ、和火ってば!!」
「…何?」
「リュック、自分のは自分で持てるから、返して!!」
「…………」
手を伸ばしてもリュックはひょいひょいと逃げる。
正確には和火が渡してくれないのだ。
「さっき、ふらついてた」
「ぅ…。
で、でも、もう大丈夫…だと思うから…!」
「そんなに自分のリュック持ちたいなら、次からはあんな風に無理やり言霊とやらを使わなかったらいい」
「うぅぅ…」
恨めしげな眼で見つめても、和火は涼しい顔で進んでいく。
つまり、リュックを渡すつもりはないということだ。
頭一つ分、撫子より背の高い彼は、足もすらりと長い。
その分、速く歩けるだろうに、彼は撫子のペースに合わせてゆっくり歩いてくれる。
撫子のリュックと、自分のスポーツバックの二つを抱えて歩いているのに、その足取りは安定していた。
…仮に、撫子が言霊を使わなかったとしても、リュックを渡してくれない気がするのは
うぬぼれすぎなのだろうか。
しらず鼓動が速くなって、頬が熱くなってしまう。
泳がせた視線の先に和火の肩にかかっている布に包まれた三本の棒のようなものが目に入った。
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