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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.91 )
- 日時: 2014/02/18 23:35
- 名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)
*「その刀、大事なものなんでしょう?
私なんかに見せてよかったの?」
脂汗のにじむ額を手の甲でこする。
和火にとって、とても重要な刀のはずだ。
気軽に他人に見せていいようなものではない。
「おまえも言霊のこととか、あまり他人に言いたくないこと、ちゃんと教えてくれたから」
撫子は目を見開いた。
「なんで…私のこと、『人間』として、扱ってくれるの?」
——————ばけものっ!!
遠いいつか、幼い頃、投げつけられた言葉が耳の奥にこだまする。
「なんで?
おまえ、人間だろ」
逆に怪訝そうに問い返されて、言葉を失う。
彼の言葉が胸の真ん中にすとんとおさまった。
そうだった。
言霊どうこうの前に、自分は『人間』なんだ。
そんなあたりまえのことに気づけなくなるほど、言霊や霊力を他人に見せることに臆病になっていた。
撫子はただ嬉しくて、まっすぐに和火の目を見てふわりと笑った。
「あり、がとう」
「……別に、何もしてないし」
そっぽを向いてしまった和火の耳の先が赤くなっているのを見て、撫子は笑ってしまった。
笑われたのが恥ずかしいのか、彼は薄くて形の良い唇を惜しげもなくへの字にしている。
「もう休憩はいいだろ。
……行こう」
ぶすくれた表情のままで立ち上がろうとした長身が突如ぐらりと揺れた。
撫子の笑みが凍った。
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