コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.109 )
日時: 2014/02/27 12:14
名前: いろはうた (ID: 6Bgu9cRk)

*チキッと和火の手の中で刀が鳴った。

白夜の紅い瞳がスッと細められる。


「ずいぶんと不思議な気だ。

 ……君も、太古の血をひくものか」




ギャンッ




甲高い濁った音が鳴り響く。

キチキチと小さな音を立てて、白夜の手に握られている大きな深紅の鉄扇を、

和火の刀のさやが受け止めていた。

見た目ではわからないが、両者ともかなりの力で互いに押し合っている。

次の瞬間、二人は同時にその場を飛びのいた。

大きく距離を取った和火の瞳は、いまだ淡い緑に輝いている。

いや。

先ほどよりも、より強い緑になっている。

和火の両手が刀の柄と鞘、両方にかかった。

———抜く気だ。

ダメ。

抜かないで。

ああ、言わなきゃ。

『静止』って、『話さ』なきゃ。

だけど、唇は凍ったように動かなかった。

シュリン、と涼やかな音と共に、刃が鞘から放たれる音があたりに響いた。

和火の目が鮮烈な緑に輝く。

ズキン、と頭が強く痛んだ。

これまでにない強い痛みに、撫子は小さくうめいてうずくまった。

抜かせてしまった。

和火が和火でいられなくなってしまう。


——————私が、『撫子』でいられなくなってしまう。



「三重結界、現出」


なめらかな声が紡ぐ言葉によって、薄赤く光る正方形の結界が和火を三重に囲む。


「炎陣」


聞き覚えのある言葉に、撫子は目を見開いた。

この術は…まずい。

白夜は、結界の中を炎でいっぱいにして、和火を焼き殺す気だ。