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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.172 )
日時: 2014/03/25 13:37
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

*気づけば、撫子は浅葱色の空間にいた。


(確か、先ほど崖から落ちたはずなんだけど…)


崖から落ちた際に頭を打って気絶してみている夢なのかもしれないこれは。

それにしても、妙な気持ちだ。

この心がしっとりとぬれているような感情はなんだろう。


「私……哀しいのかな……」


そうか私は哀しいのか。

哀しいという感情がぴたりとあてはまる感情。

でも、何故こんなに哀しいのかはわからない。

頬をぬぐうと手の甲は濡れている。


「なんで……泣いているんだろ…私……」

『ああ、まことに。

 他の男のために流される涙なんて、私は見たくないよ、巫女姫』


撫子はびくりと肩を震わせた。

あたりを見渡しても一面の浅葱色。

声の主の姿はない。

だが、撫子にはそれが誰なのか差方を見なくてもわかった。


「白夜……さん……?」

『名前を覚えてくれたのか。

 嬉しいよ、巫女姫』

「……巫女姫って、呼ばないでください」


鈍く痛み始めた頭を押さえる。

ここ最近いつもこうだ。

なにかを思い出そうとするかのように、頭が痛む。

この浅葱色の空間は白夜の術かなにかだろうか。

もしそうだとしたら早急に解かねばならない。


『それほどまでに警戒せずとも、いますがさらったりはせぬ。

 ただ、今日は『貴女』に目覚めてもらうための準備をしにきたのみのこと』


それを聞いて、今まで理性で押さえつけていた恐怖が一気に膨れ上がった。

この青年がなにもせずに帰るわけがない。

あの時だって、和火を殺そうとしていたのだ!


「う、うそっ!」

『嘘ではない

 支度はせねばならぬから』

「と、豆腐頭のコスプレストーカーのくせに!!」

『……こすぷれすとーかー……??』

「あなたなんか、もみくちゃにされて、サラダかコロッケになればいいのよ!!!!」

『……』


撫子の言っていることを必死に理解しようとしたようだが、

白夜には理解できなかったようだ。

しばらくの間、白夜の声が聞こえなくなった。


『……なにか私の言葉が気に障ったのなら詫びよう』


ただパニックになっただけなのだが、白夜はとりあえず撫子が怒っていると受け取ったようだ。