コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.189 )
日時: 2014/03/31 23:00
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

今は昔、影水月といふ古き巫女の一族ありけり。



そこに白銀の巫女と謳われし娘ありけり。



名をば楓となむいひける。



この娘のかたちはけうらなること世になく、月のごとき清らかな心をもち、



ひとたび神楽舞へば神をも御心打たれ、涙し、地は潤う。



この娘の操りし言ノ葉は、けうなる青き力を持ちて、きよらなる銀をもかたを変える。





*今となっては昔のことだが、影水月という古い巫女一族がいた。

その一族には、白銀の巫女と謳われた、まこと美しき巫女姫がいた。

名をカエデという。

彼女は、影水月一族の次女として生まれた。

姉はハルナという娘で、彼女は美しくたぐいまれなる霊力を持って生まれた。

カエデは、影水月の跡取りとなる姉のハルナを影より守るため、分家に入り、

ハルナを守るためのみ使っていい言霊を習得した。

彼女たち姉妹には、幼なじみがいた。

ホムラという宮司の一族の若者だ。

幼き時を長く共に過ごすうちに、カエデはホムラに淡い想いを抱くようになっていた。

しかし、カエデが分家に入ると同時に、姉のハルナとホムラは婚約した。

姉には、容貌も霊力も人望もホムラに対する想いも、なにもかも勝てないのだと

自分自身に絶望するカエデ。

そんな中、ある日、影水月に敵対する武力派の神社から、巫女をよこせと言い渡された。

ハルナを渡せば、影水月は衰退するし、断れば襲われて滅ぶ。

影水月を救うため、カエデはハルナの身代わりとして敵対する神社に単身で渡っていった。

そこには、かつてカエデを救ったヒタギという見目麗しい忍びの青年がいた。

最初は警戒していたカエデだが、ヒタギの優しさや人柄に触れていくうちに

どんどん彼に惹かれ、敵対する者だと知っていながら、

知らぬ間にヒタギに恋い焦がれるようになった。

そんなある日、幼なじみのホムラがカエデを救いにやってきた。

だが、カエデはヒタギと共にいたい、という想いを自覚し、ホムラに別れを告げる。

様々なすれちがいや困難を経て、最終的には、カエデはヒタギと結ばれる。




……何故目を潤ませているのかな巫女姫…??

…………か、感動した…?

よかったねカエデ…って…?

お、お幸せに……?

いや、あの…これは、君の先祖の物語だよ巫女姫。

……巫女姫って呼ばないでこのまっしゅ…?

まっしゅとは…いかような物?

まあ、いい。

実際に、君には過去の欠片を見せよう。

ほら、そんな物騒な人を視線で殺しそうな顔などしてはならぬよ。

眠るといい巫女姫。

夢を見るのだから。