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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.201 )
日時: 2014/04/03 21:14
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)

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*今日は、おれの愛しく想う娘が、おれの主と祝言をあげる日だ。





「レイヤ?

  もうすぐ式、始まっちゃうよ?

  なんでこんなところに連れてきたの?」


地面にカエデを名残惜しい思いでおろすと、彼女は不思議そうにおれを見つめた。

その完全におれを信じきっている目を見ると、

いっそ彼女をさらってしまおうか、という愚かな考えはもろく崩れていった。

ああ、彼女は知らない。

彼女の声で呼ばれるだけで、こんなにもおれの胸はかき乱されてしまうことを。

おれはすばやく膝をついて、驚いているカエデの手を取り、誓いの言葉をのどの奥から絞り出すように言った。

カエデの騎士となることを、おれは誓った。

突然の宣言の理由も聞かず、カエデはただ笑って、ありがとう、と言ってくれた。

こんなときでもおれを気づかうカエデが健気で愛おしかった。

カエデはもうすぐヒタギ様の妻となる。

もうすぐ他人のものとなる娘だ。

そう自分に言い聞かせないと、おれを信頼しきって無防備なカエデを、

遠いどこかに連れ去ってしまいたくなる。

それを実行しないように、強く自分の手を握りしめる。

この誓いは、カエデのためというよりも、おれ自身のためのものだ。

カエデが、大切で、好きで、愛しくて、狂ってしまいそうになる。

だが、その狂おしい想いを決して彼女に伝えぬよう、自ら一線を引いたのだ。

騎士になることで、決して越えられない壁を、自ら築いた。

彼女の笑顔を、幸せを、おれの想いなどで曇らせたくなどなかった。

絶対に。


それになによりも騎士になれば、カエデを一番近くで守れるし




————————————お前の傍にいられるから。





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