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Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.209 )
日時: 2014/04/04 21:26
名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)


*———————おまえの傍にいられるから。


レイヤの声が脳裏によみがえり、びくっと少女の肩が揺れた。

レイヤという名の若者の顔がよぎる。

どこでだろう。

あの緑の瞳、どこかで見たことがある。

それにあの二振の刀もだ。

けれど、彼女の疲弊しきった頭では思い出せなかった。

ズキンと頭が痛む。

思い出せるのは、レイヤがカエデを愛しているということだ。

けど、その想いを彼は伝えなかった。

愛しい者の幸せを守るため、心の奥底に封じ込めていた。


(そして、カエデは私の先祖であり、

 私の魂のずっと前の器だった彼女は、そのことに……気づけなかったんだ)


楓。


遠き昔、皇子をも恋に狂わせたという美貌を持ち、

唯一絶対の青き力をもつ言霊を自在に操った白銀の巫女姫。

「私」はそれの生まれ変わり。

そもそも……「私」とはなんだろう。

伝説の巫女姫の生まれ変わり。

ただの魂の器。


「私は……誰……なの……?」


問うても、応える者はいない。

体に冷たい雨が叩きつけられる。


「私って……なに……?」


呼吸が知らず荒くなる。

目の前の景色がかすむ。

楓の生まれ変わり。

彼女の魂に、少し自我が芽生えていただけの。


「ち、違う……」


ただの魂の器。


「ちが、う……ちがう……」


顔をいくつもの雫が流れた。

雨粒なのか、涙なのか、もうわからない。


「わ、私……私は……」