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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ナメコとワカメのふらいあうぇいっ ( No.249 )
- 日時: 2014/04/23 20:37
- 名前: いろはうた (ID: DYDcOtQz)
- 参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi
*撫子ははっと目を見開いた。
視界がぼやけている。
頬は涙でひどく濡れていた。
心臓がばくばくと脈打っている。
夢だ。
夢だった。
過去の記憶の欠片。
『私』という魂が、『ナギ』という少女の器に入っていた時の物語の断片。
あの夢。
どうやら、レイヤが誓っていた『騎士』という役割はその子孫に受け継がれているようだ。
今回の夢は前までとは少し違った。
あのハヤテという青年。
彼も先祖と同じように、守るべき巫女の少女に恋をしていた。
前と違うのは、その少女、ナギも、ハヤテのことを同じように愛していたということだ。
でも、気づけなかった。
2人は互いを想いあっていることに、気づけなかったのだ。
ズキンと頭が痛む。
何かを思い出そうとするように。
あのハヤテという青年。
誰かにひどく似ている。
それが誰なのか、無性に思い出したくなくて、撫子は心にふたをした。
撫子はゆっくりと身を起こすと、布団から出て用意していた着物に身を包んだ。
(挨拶…しに行かなくちゃ……村の人に……)
しばらくお世話になりますって。
私は、『撫子』ですって。
自分という存在を確かにするために。
慧はまだ隣の部屋で寝ているようだ。
彼の霊力を感じる。
書置きを残そうかと思ったが、この世界の文字が現代日本語と同じかわからないから、
撫子は伝言メモ代わりに言霊を込めた球体を作り、自分が寝ていた布団の上に置いた。
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