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Re: 似たもの同士は恋をする。~秘密と恋の行方~ ( No.35 )
日時: 2015/10/30 00:23
名前: ひかり (ID: TkB1Kk0e)

第五章 4,崩れたニチジョウ

いつの間にか寝ていたのだろうか。
ぼんやりと、意識を取り戻す。
「う……、気分わる………」
頭痛がする。
これは、熱があるかもしれない。
病院に……、いや、母親にこれ以上迷惑は掛けられない。
でも、明日は学校…、
「京香っ!!!!」
ドタドタ階段を駆け登る音が聞こえた後、姉の声が部屋に響いた。
ドアが開く。
「ねぇ、京香。正直に答えて。」
驚いた。
いつも穏やかな姉の顔が怒りで歪んでいる。
でも、どこか悲しさの宿った表情だ。
「お姉ちゃん、なに……?どうしたの、急に」
「私の名前で過ごしてるってほんとう?」
真由の質問は鋭かった。
的確に、一番最初に、言葉に包み隠さずに突いてきた。
「………なんで、」
「秋翔くんに聞いた。」
「なんでっ!」
「さっき、会ったの。名札を見てすぐわかった。京香の学校の制服だったし。」
「……………」
「ねぇ、なんで私の名前を"勝手に"使ったの?」
それは、といいかけてぐっと詰まる。
なんでもできる姉には到底分からない。
「ねぇ、聞こえてるんでしょう!?」
「うるさいっ!!」
しん、静まった。
「どうせ、お姉ちゃんなんかにわからない!いいよね、お姉ちゃんは私みたいな不幸がなくて!普段も同情してるだけなんでしょ!?私には、お姉ちゃんに勝てるものも、何一つないっ!全部、私の欲しいもの全部、お姉ちゃんは持ってるもんね!」
一度言うと、堰が切れた。
もう、口に出した言葉は戻らない。
真由が、泣きながら部屋を出ていく。
「…………卑怯だよ、そんな風に泣いて。」









          嘘物の幸せが、音をたてて崩れた。