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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 似たもの同士は恋をする。~秘密と恋の行方~ ( No.38 )
- 日時: 2015/12/08 00:21
- 名前: ひかり (ID: TkB1Kk0e)
第六章 2,「ハナシをしませんか?」
玄関の前に立ち、深呼吸をひとつする。
秋翔は放課後、京香の家に来ていた。
勿論、何故名前を偽っていたのかを聞くため、そして京香が何を隠しているのかを知るためだ。
覚悟を決めて、チャイムを一度鳴らす。
ピンポーン♪
あぁ、親御さんが出てきたらどうしよう、なんと言って説明すべきか……などと秋翔が考えを思い巡らせても、一向に玄関からは誰も出てくる気配がない。
留守かもしれない、と思いながらももう一度だけ、とチャイムを鳴らす。
ピンポーン♪
今度は、すぐにバタバタ、と玄関の先から音がした。
次の瞬間、扉が開いて、長くて黒い髪の少女がひょっこりと顔を出す。
「すいません、インターホン気付かなくてっ……!?」
……京香だった。
秋翔に気付いて、京香は一瞬、驚いた顔をしてすぐに玄関の戸を閉めた。
だが、秋翔も負けじとドアノブを引っ張る。
「離してっ!」
「一回だけ、話をしよう! お願いだから!」
「いやっ!」
「頼む、お願いだ、京香!」
京香の手が緩まった。
「……やっぱり、お姉ちゃんに聞いたんだ、それ」
「………あぁ。聞いた。でも、理由は教えてくれなかった。俺は"京香に"なんでこんなことをしたのか聞きたい。」
「……聞いたら、きっと私を嫌いになる。」
酷く怯えた顔で、京香が言った。
「俺は絶対に、何があったとしても、京香を嫌いになったりしない。約束する。」
「……………わかった。全部話すから。」
小さな声で呟いた京香は、見ていられないほど小さかった。
入って良いよ、と言って開けられた玄関の戸を、秋翔はくぐった。
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