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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 似たもの同士は恋をする。~秘密と恋の行方~ ( No.48 )
- 日時: 2016/01/16 01:27
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
第七章 1,「ハジマリの予感。」
「えっと……、城崎京香、です。片耳が聞こえないんですけど、皆と色々お話したいので、えと、聞き取れるように頑張ります…!」
四十人学級で喋るのは耳のことを抜きにしても緊張する。
そのせいかいつもより心持ち声が小さくなる。
皆、温かい拍手と笑顔で迎い入れてくれたことにほっとする。
担任教師の杉原先生は野島先生と正反対の体育会系の若い女の先生だ。
杉原先生に指示された席に着き、鞄を横に掛ける。
連絡事項を言い終え、チャイムが鳴り響いた教室に休憩時間が訪れる。
教科書と筆記用具を机の上に置いたとき、机をとんとん、と前からたたかれる。
「自己紹介、勇気あるねー! 私だったらあんなはっきり言えないし。すごいね」
私に気遣ってゆっくり話してくれる、前の席の女の子。
すごく美人さんだ。
「私、西条 紫苑。紫苑でいいよ。京香って呼んでいい?」
「……よ、よろしく!」
「この学校で京香の友達第1号だね〜」
友達、…。
前の学校では、いなかったな。
話すのも、秋翔ぐらいだった。
「分かんないことあったらいつでも私に聞いてねー」
「い、いいの? その、私、友達で…」
「さっきあんたが皆と話したいって言ってたんじゃん。それとも友達、嫌?」
急いで頭を横に振ると、紫苑…ちゃん、は満足そうに頷いた。
新着メール
宛先:京香
件名:どう?
クラス、馴染めそう? なんかあったら連絡しろよ
メール制作
宛先:秋翔
件名:近状報告
なんか秋翔、お父さんみたい(笑)大丈夫だよ。友達、できました。クラスの皆も優しそうです。また連絡するね。
メールを打ち終わって窓の外を眺める。
案外、悪くないかもしれない。
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