コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 似たもの同士は恋をする。~秘密と恋の行方~ ( No.53 )
- 日時: 2016/02/01 01:53
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
第八章 1,「私たちは、ジャマですか?」
「はぁ? 私の好きなタイプ?」
「うん!」
さっき秋翔から来たメールを勝手に見た紫苑ちゃんに思いきって、聞いてみた。
今日は日曜日。
まだこっちに来てまもない私に、紫苑ちゃんが街を案内してくれていた。
紫苑ちゃんお気に入りのケーキショップのテラス席で、おすすめのケーキを食べていた。
「私より頭のいい人かしら」
興味なさそうな顔でバッサリ切り捨てた紫苑ちゃん。
「……紫苑ちゃん、この前の定期テスト学年トップって聞いたけど………。」
「もしそうならうちの学校に私に釣り合う人はいないってことよ」
にこりと不敵に笑う紫苑ちゃん。
普通ならいらっとする言葉かもしれないけど、紫苑ちゃんが言うと本当にそうと思えてしまう。
「でーもー、秋翔くんかっこいーわねー」
「ちょ、紫苑ちゃん!?」
そう言わって紫苑ちゃんは私のスマホを勝手に弄り、画像フォルダから秋翔と二人で撮った画像を呼び出し、私に向ける。
「うわぉ、京香、顔真っかっか〜。いーわねー、私もいい人いないかな〜」
「……紫苑ちゃんなら探せばいっぱいいるじゃん〜」
「私理想高いもーん」
うふふ、と鉄壁の美人スマイルで紫苑ちゃんは手の中にあったのスマホを私の方に戻す。
「ううぅ〜………。神様は不公平だぁ〜」
「まあまあ、言っても仕方ないでしょ。私、神様にも愛されてるから?」
両肘をテーブルについてにこりと微笑む紫苑ちゃんは天使としか形容できない。
「でも今はあんたの恋路を見てるだけで胸一杯だわ〜。遠恋だっていうのにラブラブなあんたら見てたらしばらく彼氏つくる気にもなんなーい。この〜京香めー!」
「ひ!? あははっ、ちょ、脇腹はやめっ……!」
突然私をくすぐり始めた紫苑ちゃんに驚いてテーブルがガタガタ揺れる。
周りのお客さんが一斉にこちらに目を向けたので、少し反省して席に座り直す。
「ま、今は私は友達だけいりゃじゅーぶんよ。メールのやりとり見てたら胸焼けしそう。」
うぇ、とジェスチャーをして見せる紫苑ちゃんに私は、笑った。
時は変わってその日の午後11時過ぎ。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが私のために用意してくれていた部屋で、布団を敷き、今日のことを振り返った。
紫苑ちゃんは、いい人だ。
でも、ときどき、お姉ちゃんのことを思い出してしまうんだ。
引き出しにしまっていた姉に対する"罪悪感"。
お姉ちゃんと紫苑ちゃんは、似ているようで似ていない。
頭がいいところ。
運動神経がいいところ。
美人なところ。
クラスの皆と仲がいいところ。
私のような不幸がないところ。
しっかりしているところ。
私の欲しいものを全部もっているところ。
でも。
お姉ちゃんとの間に作っていた壁は、紫苑ちゃんとの間には無い。
それはきっと、紫苑ちゃんは私に変に気遣ったりしないからだ。
お姉ちゃんは、私の耳のことを心配して、過剰に私を気遣った。
そして、お姉ちゃんは、ずっと自分を謙遜していた。
『私は京香と違って耳も聞こえるから、私が京香を助けないと。』
以前、お姉ちゃんが友達と話しているのをたまたま聞いた。
そのとき私は、とても腹が立ったのを今でも覚えている。
そういうお節介が、私たち……"障害者"と呼ばれる人たちを、傷つけるのだ。
"障害者"
つくづく酷い言葉だと思う。
あるとき、私は気になって、辞書で"障害"を引いてみた。
意味は、___『妨げること。また、進行の邪魔となるもの。』
私は、秋翔は、不幸を背負って一生懸命生きている人たちは、
"物事を妨げ、進行の邪魔になる"、人ですか?