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- 第1章『始まりの前奏曲』 ( No.5 )
- 日時: 2014/01/22 10:03
- 名前: あんず ◆zaJDvpDzf6 (ID: YxUxicMi)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=35393
おはようございます!
──‥*※*‥──
第1章『始まりの前奏曲』
story1
穏やかな朝の光が、一人の少女の頬に当たる。
少女は軽く寝返りを打った。
その瞬間、傍に置いてあった目覚まし時計が、
電子音を響かせながら震えた。
少女はその精緻な作りの顔を歪ませ、
目覚まし時計をパシッと器用に叩く。
うっすらと開けた瞳は、まるで海のように蒼い。
「んー、もう朝ですか…」
ベッドからのそのそと降り、
伸びをしながら少女は呟いた。
壁際の制服を取ると、すぐにシャツに腕を通し、
さっさとスカートとブレザーを身につける。
少女の名前は葵・アイネアス・ロレイン。
イギリスと日本のハーフの十六歳だ。
葵は振り替えって目覚まし時計を見る。
時刻は6時20分。
それを知ると、葵は少し焦り気味に
鏡の前にたって髪を1つに結んだ。
部屋の隅に置かれたスクールバッグに
持ち物が全て入っていることを確かめると、
葵は小走りで部屋の扉を開き、一階へと降りる。
そっとリビングへ続くドアを開けると、
そこにはいかにも厳しそうな、
三十代ほどの女性が椅子に座っていた。
「おはようございます、叔母様。
遅くなりすみません。」
女性──葵の育て親、松井麗子に挨拶をする。
麗子は少しイライラしているようだった。
「遅いとわかっているのなら、
何故目覚まし時計を早くに設定しないのです?
明日からは早く起きなさい。
そして立っているのではなく、
今すぐに朝食を食べるべきだと思わないのですか?」
麗子は冷たく葵を睨み付けた。
葵は急いで椅子へ座った。
「は、はい。申し訳ありません。
では、いただきます。」
震えそうになる体を伸ばし、
麗子に謝罪の礼をする。
麗子はわざとらしく溜め息をつき、
葵をまた睨んだ。
葵は急いで黙々と食事を食べる。
「毎日あなたが食事を作るはずですよ?
今日は私が作りましたが、
これきりだと思いなさい。」
葵は食事を止めて、麗子を見る。
「すみません叔母様。
明日からはきちんとしますので…」
麗子はまた溜め息をついた。
葵は居心地悪く食事を再開する。
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ…
時間は静かに過ぎていく。
葵の食器の音と今の時計の音だけが聞こえた。
部屋は異様に静かだ。
「ごちそうさまでした。
叔母様、お皿洗っておきますね。」
葵はそのまま、重ねた食器を持って、
台所へと急いだ。
流しに皿を置き、水を出す。
肌寒い中の皿洗いはかなり苦痛である。
「はぁ…」
葵はうんざりしたように溜め息をする。
そして黙って皿を洗っていった。
──‥*※*‥──
葵登場です〜。
good-bye☆