コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 面倒くさがり上等です。 ( No.13 )
- 日時: 2014/07/17 22:08
- 名前: 雨 (ID: 5YqwrR3X)
「なぜ遅れたのかと理由を聞いている。答えろ、上野」
そこそこ急いできたものの、当然のごとく委員集会は終わっていた。教室に残っていたのは委員会の担当らしい猪野という理科教師と、茶髪の生徒だけ。
これもまた当然のごとく、猪野による説教タイムが始まった。
子供が逃げ出すような人相の悪い悪人面をさらに悪くし、説教するんだから勘弁して欲しい。
「学級委員は責任の重い仕事だ。その集会に遅れるなど、自覚がたりない」
もうすぐ十五分がたつ。そろそろ帰してくれないだろうか。まず、説教する相手が違う。あたしが遅れたのは、教師の自覚がたりない橋見の責任だ。
「まぁまぁ猪野先生。こんな可愛い一年生に厳しすぎますよ。ねぇ子猫ちゃん?」
ーー背中に鳥肌たった。
猪野の説教に割って入ったのは、残っていた茶髪の男子。ネクタイの色を見るに、三年らしい。長めの茶髪に、色の白い肌。優しげな目元で背も高く、普通にもてそうな感じの人。
「猪野先生、これから会議だって言っていませんでしたか? この子には僕がきちんと言っておきますので、ご安心を」
優しげに微笑むその人に、猪野がしぶしぶといった感じでうなずいた。……面倒フラグが立った気がする。
「……じゃあ頼んだぞ、如月」
「はい。お任せを」
猪野が出て行ったのを見届けると、くるりとその人ーー如月が振り返った。
にこやかな表情に、またぞわりと寒気がはしる。まず喋り方が高校生男子じゃない。闇駆以上に無理。
- Re: 面倒くさがり上等です。 ( No.14 )
- 日時: 2014/03/30 09:40
- 名前: 雨 (ID: 5YqwrR3X)
「まずは自己紹介かな。僕は三年の如月悠。気軽に悠とでも呼んで」
絶対嫌。
「どうしたんだい? そんなに眉なんか寄せて。可愛い顔が台無しじゃないか」
気持ち悪すぎて呼吸困難になりそうなレベル。この人、生きる次元間違えてないか。
顔をそむけていると、髪をさらりとすかれた。
「ーー!」
「あ、驚いた顔の方がずっと可愛いよ」
そう言ってニコリと笑う如月に、思いっきり不機嫌そうな顔をつくる。如月が眉を下げた。
「なにがそんなに不満なんだい? 子猫ちゃん」
あんたの甘ったるいセリフだよ。
「……上野沙歩」
「ん?」
「子猫ちゃんとかやめて。上野沙歩」
少し強めに言う。如月の顔にぱっと笑みが浮かんだ。
「声も可愛いね。名前呼びをご所望か」
名字で結構です。
「よし、じゃあ沙歩ちゃんとでも呼ぼうかな?」
真面目に止めて。
「それにしても沙歩か……。ぴったりな可愛い名前だね」
また笑いかけられて、視線を横にそらす。やばい、寒気がひっきりなしに襲って来る。
というか、いちいち可愛いを言わなきゃ生きていけないんですかあんた。
「ーーあぁ、そうだ。僕はきみに、猪野先生の代わりに言っておかなきゃなんだったね」
なにをいまさら。
「でもこんな可愛い子にきつく言うなんて、僕には…………」
机に手をついてうなだれる。劇団員か。と思ったのもつかの間、ぱっとすぐに顔をあげた。
「そうだ、僕にはできない!」
猪野に自信満々にお任せをとか言ってなかったか。
「だから一緒に帰らないかい?」
なんでそういう話にいくんだ。そんな面倒なのお断り。
にこやかにこちらを見る如月に首を横に振る。如月が難しい顔をした。自分の腕時計を指す。
「いいや。こんな遅い時間に沙歩ちゃんを一人で帰らせるわけにはいかないな」
まだ五時四十分ですけど。
「よし、行こう!」
嫌だって。