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Re: 面倒くさがり上等です。 ( No.26 )
日時: 2014/05/04 23:23
名前: 雨 (ID: 5YqwrR3X)

 ーーキーンコーンカーンコーン……。
「あ」
 授業を始める憂鬱なチャイムが鳴った。けど、理科室にはまだ誰も来ていない。先生すら来てないってどういう事だ。
「もしかして理科室じゃなくて、普通に教室だったかな」
 時計をあおぎ見て、光が言った。やばいなーと顔をしかめる。
「担当、猪野先生だよね。怒られそう」
 げ。猪野……また説教とか勘弁してくれ。
 白鳥さんが不安そうな顔をする。光が湯川さんに声をかけた。
「えーっと、ジョニー・ウェーラヴィッチェデラウッドさんだっけ?」
 なんで覚えてる。
「残念だけどもう授業始まるし、少しお別れで。行こう、湯川さん」
 ひかえめにそううながした光。湯川さんがふぅ、とため息をついた。ジョニーの肩を抱き、
「少し行ってくるわ。昼休みにまた来るわね」
 ささやくと教壇から降りた。立ってみて分かったけど、かなり背が高い。低めのあたしと頭半分以上、差がある。
「ちょっと急ごう」
 教務室の前は静かに歩き、他の廊下はぱたぱた小走りで教室に向かう。
「ーーって、いないんだけど!」
 教室には人っ子一人いなかった。隣のクラスから聞こえる騒がしい声が、静かさを引き立てる。
「あ! 光ちゃん、第二理科室って書いてあります! わたしたちがさっきいたのって、たぶん第一理科室……」
「第一理科室って知らなかったの? どうして教室に行くのかと思ったら……」
 湯川さん、会話から察してくれ。ジョニーしか目に入ってないのか。
 今度はまた理科室へと急ぐ。四階の教室から一階の理科室まで全力疾走は意外とキツい。
 湯川さんがかすかに息切れしながら言った。
「ねぇ、ジョニーに会ってきて、体力と気力の回復したらダメ?」
 どうして人体模型見て、体力と気力が回復できるのか知りたい。
「ダメダメ」
 光が言いながら、第二理科室のドアを開けた。
「すみません、場所が分からなくて遅れました」
「申し訳ありません」
 眉を寄せる猪野にまず光が謝り、白鳥さんが深々と頭を下げた。あたしも猪野ににらまれ、形だけ頭を下げた。
「すいません」
「ジョニー……」
 結構KYだな、この人。この状況でジョニーとかやめてくれ。教師の説教とか本当に面倒なイベントなんだから。
「湯川麻莉。なんと言った?」
「ジョニーよ。わたしの彼氏」
「彼氏? 学校の中で恋愛などにうつつを抜かすな!」
 バカじゃないの、湯川さん…………。