コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 面倒くさがり上等です。 ( No.29 )
- 日時: 2014/07/11 21:40
- 名前: 雨 (ID: 5YqwrR3X)
「ねぇ、上野さん。そんなことやっていないで、あなたもジョニーと話さない? とってもユニークで面白いのよ」
いや、誰のせいだと思ってる?
のんびり彼氏と喋ってないで手伝ってほしい。人体模型にユニークさとか求めてないんで。
ほこりが溜まった理科準備室。放課後、空気を読まなかった湯川さんは、そこの掃除を言いつけられていた。そしてなぜかそれを手伝うあたし。
光は申し訳なさそうに部活ーー吹奏楽の方へ行った。白鳥さんも用事があるらしく、律儀に謝って帰っていってしまった。
ホウキで棚を掃けば、ほこりが舞う。雑巾で床を一撫ですれば、それはもう真っ黒。換気しようと窓を開ければ、強風で資料が吹き飛び、さらに本の雪崩。
けほけほと咳き込むと、
「ジョニーが頑張って、って言ってるわ」
言うぐらいなら手伝ってくれ。
軽く湧いてきた怒りを静める。怒っても体力の無駄だ。
「……‥‥‥宇宙の終焉ね。始まりはビッグバンといわれているわ。では終わりはどうなのかしら。終焉に関する理論はまとまっていない。定常宇宙論というものがあるけど、宇宙の密度を不変に保つ必要がーー」
突然、湯川さんがぶつぶつとつぶやき始めた。なにが起きた。もはや呪文にしか聞こえない。
「……湯川さん?」
一度名前を呼び、湯川さんが見つめる、床の一冊の本を拾い上げる。宇宙の終焉?
うわ、ほこりっぽい。雑巾で軽く拭く。
ぱらぱらとめくると、小難しいことがたくさん書かれている。
ジョニーの肩を抱いたまま、ぶつぶつつぶやき続けている湯川さんを見つめる。訳が分からなすぎて聞き取れないが、この本に関係ある事を言っているらしい。
見た目的にかなり危ない人だ。
と、湯川さんがいきなり倒れ込んだ。さすがに驚いて駆け寄る。
「ーーく」
「え?」
「……にく。お肉、ちょうだい……」
肉?
「頭、一分使うと、体力が……。お肉食べたいわ」
面倒くさい身体だな。なんなんだ。
「昨日はありがとう、沙歩さん。わたしのことはマリーと呼んで。今日、ジョニーと三人でお昼を食べましょう」
ーーなつかれた。
学校の近くの商店街で、メンチカツをおごっただけで。
「ジョニーもお友達が増えて喜ぶわね」
人体模型の友達なんていらないわ。