コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 面倒くさがり上等です。 ( No.30 )
- 日時: 2014/05/23 19:14
- 名前: 雨 (ID: 5YqwrR3X)
*5*
「僕の叔父のはげた頭のように輝く太陽。僕の心を映しとっているみたいだ。そう思い、僕は笑った」
はい無視。
今から購買に昼ご飯を買いに行く。面倒な人に付き合っているヒマはない。
「僕の隣を、少女が無表情で通り過ぎて行く。僕を目にもとめない。僕は気になった。そう、彼女の何も映さないその瞳だ。まるで壊れたテレビのようだ」
ちゃんと映してます。
ていうか、誰だ、この人。僕は、僕を、僕のーー。連呼しすぎてうざったい。
思わず立ち止まったのが失敗だった。廊下の壁に寄りかかっていた身体を起こし、妙な微笑みを浮かべてきた。すっと手を差し出される。
「僕は手を差し出した。僕は彼女と話してみたいと思ったのだ。僕は唐突だと理解しながらも言った。僕は中森拓真だ。君は? 僕はたずねた」
これ以上関わる気はない。中森から視線をそらす。
ここは廊下。妙な人と話してたら、こっちが妙な人だと思われる。
「彼女は名乗らなかった。髪こそくすんだブラウンのようだが、その瞳や仕草は警戒する黒猫のようだ」
勝手に人を獣にするな。
「上野沙歩さん。僕は呼びかけた」
名前知ってるし。
「僕の悩みを聞いてくれるかい? 僕は言った」
初対面の人の悩みをなぜ聞かなきゃいけないのか。面倒くさいから聞きたくないし、お腹が空いてるから、さっさと購買に行きたいんですが。
「僕は小説家だ。そして僕は詩人だ」
本気で言ってるなら、転職することをすすめる。
「だが、僕のその夢は周りに理解されないんだ……。僕は打ち明けた」
まぁ当然だろうね。
まず本当になりたいんなら、口に出す前に紙に書けばいいんじゃないか。
「彼女は僕になにも言わなかった。ただ静かな瞳で僕を見つめるだけ。そう、静かなーー夜の墓地のような……。僕は笑みをもらした」
本当にふっと笑った中森だが、バカにした笑みにしか見えなかった。
墓地なんて比喩を初対面の人に使うな。
「僕は言った。お腹が空いたな。昼でも食べに行こうか」
なんかわざとらしい。
あたしは食べに行こうとしてたからいいけど。
まぁなんでもいい。さっさと行こう。適当にうなずいて歩き出す。
「彼女が歩き出したのを僕は見た。僕は内心喜んだ」
言った時点で内心になっていない。
「僕は彼女の後ろにぴったりついて、一緒に歩き出す」
ストーカーか。