コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 面倒くさがり上等です。 ( No.51 )
- 日時: 2014/09/15 10:31
- 名前: 雨 (ID: 5YqwrR3X)
ふっとため息をつく。掲示物を貼るために登っていたイスから飛び降りた。時計を見ると、十一時を回ろうとしていた。約一時間ほど作業をしていたようだ。
やれやれ、休日の時間が無くなっていく。
というか、
「闇駆どこ行った……」
静かな教室に、小さいつぶやきがやけに響いた。
イスを片付け、廊下に出る。闇駆の姿はない。あたしの代わりに机とイスを持っていってから、帰ってくる気配がまったくないってどういうことだ。さっきより大きなため息がこぼれた。
端の教室ーー準備室とプレートが下がった教室の扉を開ける。
「あっ、じゅ、術解師、なっなななななんだ?」
なにそのキョドり具合。
「……遅いから見に来た」
手伝うから早く帰ろう、と続けようとしたあたしを遮る様に、闇駆が口を開き、まくしたてた。
「いやでもここはクライムの実験体である生物の住処らしい……俺の魔力にびんびん反応してやがる、だからな、お前は危険だから帰ってろ、な? 例の魔封術使いが他の魔術を弾くシールドを張っているようだしな。術解師といえどもこの生物にかかった術を解くのはキツいだろうむしろこれは呪というべきだだから……、だから……俺一人で……………………」
なにこれ面倒くさい。
うろうろと忙しなく動く目に、落ち着きなくピアスやら前髪を触る手。
「幻影の黒狼にかかればこんな生物はひとたまりもないから、でも生物はまだ隠れてるから、クライムのメンバーが出て来るかもしれないから、危険がおよぶからだな………………」
分かった。なにかを隠したくて、あたしを早く帰らせたいのは分かった。
小さく息をつく。こっちを見つめる闇駆をちらりと見、ぼそっと言った。
「十二時になったらまた来る。その生物を早い所、退治しておいて。昼ご飯……魔力を補完するモノを持って来るから」
「あ、……あぁ、分かった……」
よし、いつもの調子が戻ったらしい。
「じゃあ、また後でな……。ーー術解師」
戻りすぎだ。なんだその変わり身の早さ。
ピアスを軽い金属音を立てて弾く闇駆。
無闇に雰囲気出すな。そして『お前もやれ』という、期待に満ちたイタい目であたしを見ないでほしい。
ーー……このやろ。
「ん、後で。げ……幻影、の」
ダメージメーターと羞恥心メーターが振り切れたあたしの心情を、誰でもいいから察してくれ。