コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 甘美な果実〜微かな吐息〜【短編集】【5/31更新】 ( No.125 )
- 日時: 2015/05/31 12:06
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
「君にかまってほしい〜After Story〜」
私の彼氏は私に全くと言っていいほどかまってくれない。
今日もおうちデートなのに彼は「朝の新聞読んでなかった」と言って一人黙々と新聞を読み始めてしまった。彼女がいるのに、この扱いは何なのだろう。
「ねーねー翔太! 遊ぼうよー」
「うん、後でな」
「今から!」
「うん」
「“うん”じゃないでしょ!」
こんなやり取りが毎日のように繰り広げられている。いいかげん私にも目を向けてほしいのに。
翔太の男にしては華奢な背中に私は抱きついた。翔太は一つも動じずにそのまま新聞を読み続けている。
「おーい、クソじじいー」
「新聞読んでるからじじいっていう安易な考えはやめなさい」
翔太は小さくため息をついてから新聞を一旦閉じた。私の回している腕を自分の身体から離させ、振り向いた。何だ何だと見上げると、翔太は私のおでこにそっと唇を触れた。したのかしていないのかも分からない程度のキスだった。
「はい、これで我慢して」
「……口には?」
「一回口にしたら止まらなくなりそうだから後で」
「いいじゃん!」
「俺まだ新聞読み終わってないんだよね」
そう言いながら翔太はまた新聞を開き始めた。私は不満を持ちながら妨害してやろうと彼の背中に自分の背中を預けて思い切り寄りかかった。
居心地がよくてそのまま私はいつの間にか眠りに落ちていた——。
「……ほんっとに雫はタイミング悪い……鼻毛でも書いてやりたいくらいだな」
——夢の中で、翔太が私の唇にキスをしてくれた。仕方がないなって顔をしながら。夢なはずなのに、何故か妙に現実感のあるぬくもりを感じた。
そんな翔太が、私は大好きなんだよ。
**********
*高橋雫 Shizuku Tkahashi
*安藤翔太 Shota Ando
「君にかまってほしい」のAfterstoryでした!
雫のほうがいつも一枚上手っていうのが気に入ってます笑
雫本人は気付いていないので、いつも振り回されているのは翔太のほうですね。
こいつらはずーっとイチャイチャしてそうです。
Afterstory前はこちら
「君にかまってほしい」>>30