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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 甘美な果実〜微かな吐息〜【短編集】【7/22更新】 ( No.133 )
- 日時: 2015/07/30 18:58
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
「星屑メランコリー」
ゆっくりとゆっくりと、時間の流れが狂うくらいおもむろに歩く。俯きながら。
今は隣にいない貴方を感じることができるように。
貴方とこの道を歩いたことを思い出せなくならないように。
家に送っていくと言ってくれたあの夜。ふと空を見上げたら無数の星が私たちを見つめていた。このまま手を伸ばしたら届くんじゃないかと錯覚してしまう程、感傷的になっていた。二人して見上げていたから触れそうで触れない微妙な距離を保っていたお互いの手が触れ合った。どうするべきかと悩んでいたら余計離すタイミングを失ってしまった。沈黙の中、貴方がそっと私の手を包み込んでくれた。すごく照れくさくて、男の人の手を感じさせる貴方をとても愛しいと思った。
すべて過去の出来事だけれど。
分かってる、私が曖昧に濁してきたからだって。それなのに、今も曖昧に想っている。
貴方が握ってくれた手のわずかなぬくもりが貴方を形成する断片として残っている。
ぬくもりをそっと抱き締めて。思い切り泣こう。
いつかまた、笑って貴方の姿を思い出せるように。
星空を清々しい気持ちで見上げられるようになる日まで。
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*no cast
タイトルからストーリーを考えたらタイトルの要素が少なくなってしまいました汗
今は涙で滲んでいても、いつか未来が見えるような明るい物語にしようと思いながら書きあげた作品です。
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