PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 甘美な果実〜微かな吐息〜【短編集】 ( No.55 )
- 日時: 2014/06/25 22:29
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
「くちづけ」
「ねえ、いつになったら俺のこと見てくれるの?」
「晴人が私のことを愛してくれるようになったらかな」
「だから、いつも言ってるじゃん。俺は佑帆のこと愛してるって」
晴人は、私の身体を後ろから強く抱きしめて、首元にキスを落とす。優しくて、身体がふわふわするような、そんなキスを。
——そんな愛し方で、貴方は私から離れていったりしない?
そんな疑問と不安が入り混じった気持ちが毎日毎日生まれてくる。
汚くて醜い、独占欲と嫉妬と執着心の塊が。
晴人が私を好きでいてくれていることはすごく伝わる。私も晴人のことが大好き。
それでも、不安になるのが私。
「佑帆、こっち向いて」
こっち向いて、と言いながら、晴人は自分の手で私の顔を自分の顔と向かい合わせにする。
少しずつ近づいていく、私の大好きな人の綺麗な顔。
「ストップ」
手で、自分の唇を隠す。キスなんてしたら、それは「恋人」の証になってしまう。
「まだ付き合ってないんだから、それは駄目」
「……酷い」
「酷くない」
もうずっとこのやり取りを繰り返している。
ごめんね、晴人。とてもとても貴方のことが好き。
だからこそ、私は私の九割を貴方に与えるの。まだ一割は私の中にある。
貴方がずっと、私を想ってくれるように。
私だけを見てくれるように。
私を追いかけてくれるように。
**********
*村山佑帆 Yuho Murayama
*梶山晴人 Haruto Kaziyama
佑帆はずるくて酷い女ですね……
晴人はきっと佑帆を追い掛け続けるんだろうなあ、と思います。
いつ捕まえることが出来るのやら。
PR